【連載コラム】 航空法関連規則と事業場の認定


連載コラム 第1回 航空法関連規則と「事業場の認定」:航空法について


1.はじめに
 最近、小規模企業様を訪問した際に、赤表紙の「航空機検査業務 サーキュラー集」が机上に置かれていたので、“このサーキュラー集を購買したのはどうしてですか”と尋ねたら、“お客様から、サーキュラーを入手して「事業場の認定」に関する事項を勉強して、航空機生産、品質保証活動の参考にしてほしいとの要請があったからです”との回答がありました。

その数日後、別な企業様から“事業場の認定に関する概要を社員に説明してほしい”との電話がありました。その他にも法規制に関する関係機関の動きの情報を聴く機会があります。

その背景は別として、
@民間航空機に関する法体系、特に航空法、航空法施行規則、サーキュラー等の関連規則についての概説と、
Aそれらの関連規制から呼び出され、製造企業にとって関係する「事業場の認定」についての情報を、
当社ホームページにて概説することにしました。


2.JIS Q 9100の法規制に対する要求事項
 JISQ9100:2009年版で法規制が引用されている箇所は、次の点です。




3.航空機に関する法体系
 航空機に関する法律としては、航空法と航空機製造事業法がある。航空機の安全及び「事業場の認定」に関連する法は、航空法であるので、ここでは航空法関連規定について概説する。

(1)航空法
 航空法の目的として、第1条で、国際民間航空条約の規定、標準、方式及び手順に準拠して、3つの目的を掲げている。

  • 航空機の航行の安全及び航行に起因する障害の防止
  • 航空機運送事業の合理的な運営と運送の安全の確保
  • 航空の発達を図る

(2)航空法施行規則
 航空法で定められた事項について、より具体的に細部事項を定めた省令

(3)航空法施行細則付属書
 「航空機及び装備品の安全性を確保するための技術上の基準」を規定するもので、通常“耐空性基準”といわれ、航空機の設計基準であり、航空法に定められている耐空証明、型式証明、修理改造検査等諸検査、及び整備の基準ともなる法的な技術基準である。

(4)耐空性審査要領
 上記耐空性基準の実施細則で、航空機及び装備品が耐空性基準に適合するかを審査するための要領を具体的に定めたものである。FAR(Federal Aviation Regulation)Part25,27,29と整合性をとっている。

(5)サーキュラー
 国土交通省航空局技術部航空機安全課から各ユーザー、メーカー等の関係者に対し、航空法その他関連法令のより詳細な内容を明示する場合、航空機安全課の方針を周知させる場合、及び技術的一般事項等を周知させる場合に発行される。

3.1 航空法の構成と「事業場認定」の規定

 「事業場の認定」に関する規定は、航空法第3章第20条にて定めている。


3.2 事業場の認定制度の目的
 航空法第20条「事業場の認定」の規定内容に入る前に、事業場の認定制度の目的について触れておきたい。

 事業場(航空機又は装備品を設計、製造、整備、修理、改造するための工場を意味する)の認定制度とは、
国が行うことになっている各種検査について、定められた基準以上の能力を有する事業場が国に代わって検査する制度である。(これについては、次回の中で記述します) ただし、代わって実施するといっても、本質的には航空機又は航空機装備品の製品の耐空性や環境基準適合性を保証するのは、それらを事業場の認定を受けた組織(設計及び/又は製造した企業)にあることは明白である。


 サーキュラーでは、前述のことを次のように述べている。



3.3 航空法 「事業場の認定」の規定
 以下は、航空法 第三章 航空機の安全性 から第20条「事業場の認定」からの抜粋である。

第20条 事業場の認定

 国土交通大臣は、申請により、次に掲げる1又は2以上の業務の能力が国土交通省令で定める技術上の基準に適合することについて、事業場ごとに認定を行う。

文責:門間 清秀


第2回 「事業場の認定」の目的


1.型式承認と仕様承認
 航空機の装備品及び部品については、耐空性・安全性について十分保証されたものでなければ使用することができません。

1個あるいは2個を製作する場合には、その都度国土交通省航空局検査官の検査を受けてもよいのですが、多数個の場合には、全個にわたって検査を受けることは困難です。そこで装備品、部品の型式承認又は仕様承認を取得することにより航空局検査官の検査を簡略化できます。

 型式承認とは、耐空性に重大な影響を及ぼす装備品で、予備品証明対象部品及び特定救急用具(落下傘、救命ボート等)がこの対象となります。これらの部品は、航空局検査官の検査を受けた部品だけが航空機に装備できます。
 仕様承認とは、型式承認以外の耐空性に影響を及ぼす装備品と部品がこの対象となります。仕様承認部品は直ちに航空機に装備できます。


2.事業場認定制度と業務能力の区分
 事業場(航空機又は装備品を設計、製造、整備、修理、改造するための工場を意味する)の認定制度とは、航空局検査官が行うことになっている各種の検査について、定められた基準以上の能力を有する事業場が航空局検査官に代わって検査する制度です。
 下記7つの業務能力の区分について認定の制度が設けられています。

 (1)航空機設計検査認定:航空機の設計及び設計後の検査の能力
 (2)航空機製造検査認定:航空機の製造及び完成後の検査の能力
 (3)航空機整備検査認定:航空機の整備及び整備後の検査の能力
 (4)航空機整備改造認定:航空機の整備又は改造の能力
 (5)装備品設計検査認定:装備品の設計及び設計後の検査の能力
 (6)装備品製造検査認定:装備品の製造及び完成後の検査の能力
 (7)装備品修理改造認定:装備品の修理又は改造の能力

 ここで、例として(6)装備品製造検査認定について、その概要を概説します。

 わが国に型式証明を受けた航空機の装備品等及び型式承認等を受けた装備品等について、国内の製造者(装備品等の設計者又は設計者から製造について同意を受けている者であって、当該装備品等の最終組立を行う者に限る)が、製造及び国の認定検査に相当する能力を保持している場合、装備品製造者が事業場の認定を取得することができます。そして、予備品証明と同じ効力をもつ「装備品基準適合証」を発行できます。

 事業場が航空局から「事業場認定」を取得するには、「技術上の基準」を満たすことが必要です。
技術上の基準については、航空法施行規則において定められています(後に掲載)。

 次に、細部事項を定めた国土交通省令である「航空法施行規則」について示すとともに、その認定の対象となる「業務の範囲」について概説します。

航空法施行規則  第2節 事業場の認定    

 下記は、航空法施行規則の抜粋です。

第33条 業務の範囲及び限定


1 業務の範囲

 自社の「業務の能力の区分」と「業務の範囲」はどれなのかを精査して、「事業場の認定」の対象となるか否かを判断します。しかし、「業務の範囲」である15 主要構成部品に係る業務16 その他国土交通大臣が告示で指定する装備品に係る業務については、注意を必要とします。

 例えば、サーキュラー1-004「型式承認対象部品」及び「仕様対象部品」も対象となります


2 業務の限定

 「業務の範囲」の中でもさらに、業務の範囲を限定することができます。  下記の上段は、航空機への業務範囲の限定で、下段は装備品への業務範囲の限定です。



第34条 認定の申請 
 事業場ごとに、事業場認定申請書に、当該事業場が次条の「技術上の基準」に適合することを説明する書類を添えて、国土交通大臣に提出しなければならない。

第35条 認定の基準  技術上の基準はつぎのとおり
1 次に掲げる施設を有すること
 イ 認定業務に必要な設備
 ロ 認定に必要な面積並びに温度及び湿度の調整設備、照明設備その他の設備を有する作業場
 ハ 認定業務に必要な材料、部品、装備品を適切に保管するための施設

2 業務を実施する組織が認定業務を適切に分担できるものであり、かつ、それぞれの権限及び
  責任が明確にされたものであること

3 前号の各組織ごとに認定業務を適確に実施することができる能力を有する人員が適切に
  配置されていること

4 認定の区分に応じ、航空法規及び第6号の品質管理制度の運用に関する教育及び訓練を修了した
  者であって下表に掲げる要件を備えたもの又は国土交通大臣がこれと同等以上の能力を有すると
  認めた者が、「確認主任者」として選任されていること 下表:省略

5 作業の実施方法(次の6号の品質管理制度に係るものを除く)が認定業務の適確な実施のために
  適切なものであること

6 次の制度を含む品質管理制度が認定業務の適確な実施のために適切なものであること
 イ 施設の維持管理に関する制度
 ロ 人員の教育及び訓練に関する制度
 ハ 前号(上記5)の作業の実施方法の改訂に関する制度
 ニ 技術資料の入手、管理及び運用に関する制度
 ホ 材料、部品、装備品等の管理に関する制度
 へ 材料、部品、装備品等の領収検査並びに航空機又は装備品の受領検査、中間検査及び
    完成検査に関する制度
 ト 工程管理に関する制度
 チ 業務を委託する場合における受託者による当該業務の遂行の管理に関する制度
 リ 業務の記録の管理に関する制度
 ヌ 業務の実施組織から独立した組織が行う監査に関する制度
 ル 法第20条第1条第1号又は第5号に係る認定業務にあっては、設計書その他「設計書類」の
    管理及び当該書類の検査に関する制度
    (注記:第1号とは、 航空機の設計及び設計後の検査の能力
         第5号とは、 装備品の設計及び設計後の検査の能力 のこと)
 ヲ 法第20条第1条第1号又は第5号に係る認定業務にあっては、供試体の管理及び品質維持をの
    図るために行う検査に関する制度

7 認定業務にあっては、検査が規定された検査の実施方法により行われること 詳細は省略

8 事業場の運営に責任を有する者の権限及び責任において、次に掲げる事項により適切に定められ
  たとおり、及び当該文書に記載されたところに従い認定業務が実施されるものであること 
 イ 航空機及び装備品の安全を確保するための業務の運営の方針に関する事項
 ロ 航空機及び装備品の安全を確保するための業務の実施及びその管理の体制に関する事項
 ハ 航空機及び装備品の安全を確保するための業務の実施及びその管理の方法に関する事項

 

文責:門間 清秀