【連載コラム】 航空機産業への新規参入の機会について


連載コラム  第1回 Nadcap認証取得の調査・分析を通して

(2016年3月7日)


 一昨日(3月2日)関東経済産業局主催の「航空機産業セミナー」にて、「Nadcap認証取得に向けた準備と対応」について講師を務めてきました。
セミナーのプレゼンテーション資料を作成するため認証データを整理してみました。すると、日本におけるNadcap認証取得数(=事業所数とScope数の累計)は約300件で、大企業が約70%で30%が中小企業です。驚いたのは、これらの中で、新規企業のNadcap認証取得数は、ほぼ0件です。

理由は、簡単明瞭でした。Nadcap認証取得には、

1.AS/EN/JISQ9100認証取得していなければならない他に、
2.顧客(プライムである顧客)製品によってNadcap審査を受けなければならない。また、
3.には、1を取得しても新規サプライヤへ作業移管の場合、顧客(プライムでない顧客)は、新規サプライヤに
  発注する旨の申請をプライムにし、承認を得る必要があります。その上での新規サプライヤにプライムの図面、
  スペックを貸与して試作的に実施させて、Nadcap認証審査に入れなければならない等の制約があるからです。

これらの動きが最近変化してきました。新規中小企業のNadcap認証取得の具体的な問い合わせ、支援依頼が多数当社に寄せられてきたからです。

大企業は、
航空機の増産に対応して、既存工場での生産増強、
  ↓
組織内他事業所への展開、そして
  ↓
既存協力先への業務移管段階から、ようやく
  ↓
新規参入中小企業への展開段階に入ったとの結論を得ました。

大企業の行動は、ビジネス的側面から考えると当然なことです。ビジネスリスク(品質、納期)軽減面から考えても、
自工場→自社他工場→既存サプライヤ→新規サプライヤの順でリスクは高まります
(作業移管のリスク:一般論です。もっとも技術的リスクの高いものは自社で製造しますが)。

また、自社従業員の雇用、売上げ・利益の増大の面から考えても、このステップの行動は企業として必然的なわけです。

次回は、さらに具体的なNadcap認証取得に関する動きを解説したいと思います。
その内容は、一貫生産、産業クラスター、セカンドソース(BCP事業継続計画)と関係しています。

文責:門間 清秀

連載コラム  第2回 Nadcap認証取得の調査・分析を通して(2)

(2016年3月14日)


 航空機産業の繁忙さは、787増産、777X開発スタート、MRJ量産スタート、この他に防衛省多機種の航空機開発等々と相まって、至るところで繁忙さを聴かせられる状況です。
この状況下で漸く、大企業から新規中小企業に参入の声がかかってきています。

 例えば、航空機クラスターに参加することによって、
1.国内・海外での航空機シンポジウム展示会を通して、多数の顧客への露出度の高まりによる商談、
2.地域行政主催による大企業と中小企業とのマッチング商談機会の増大があります。

 一方、一貫生産に向けて、大企業が財務体質の健全な中小企業に対して、中期的視点からの特殊工程の委託への取組みがあるようです。
1.第一ステップとしての作業者派遣による技術伝授
  ↓
2.第二ステップとしての構内請負作業委託による技術・管理面からの指導・支援
  ↓
3.第三ステップとしての自立への向けた進め方です。

現在は、漸く第一又は第二ステップに入った段階です。

 その他、熱意ある中小企業へ、第一段階としての治具の製造委託に始まり、複雑でない部品加工委託に進むケースがあります。将来的には、特殊工程を委託するとの話も始まっているようです。また、この類型パターンとして、航空機製品では取引がないが、他の業種で取引がある中小企業対して、セカンドソースとして活用するケースが出てきました。
この場合は、経営者間での合意に基づく新規参入の例です。

 このセカンドソースの採用の流れは、発注者側の事業継続性に対する“リスクベースの考え方”によるところが大きいのです。
これについては、ISO9001:2015の“リスクベースの考え方”と一致しているところです。

文責:門間 清秀