【連載コラム】 リスク解読シリーズ


連載コラム  第0回 9100:2016のリスクに基づく考え方、運用リスクマネジメント、FMECA、ハザード評価等

(2017年4月14日)


 JIS Q 9100:2016の要求事項を読んでおりますと、(1)「リスクに基づく考え方」が序文から箇条5に、また、それに合わせて(2)「リスクと機会への取組み」関連要求事項は、箇条4、5、6、9、10に呼び出されています。

 一方、(3)運用リスク(マネジメント)、故障モード・影響及び致命度解析(FMEA, FMECA)については、箇条8.1(8.1.1)に、また
箇条8.2に、運用リスク(例えば、新技術、製造能力及び生産能力、短納期)、
箇条8.4.1に、“外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品の外部提供に関するリスクを特定し・・・”、
箇条8.4.2では、“模倣品のリスク、不適合のリスク”、“材料を重大な運用リスクとして識・・・”、
箇条8.5.1.3製造工程の検証では、“これらの活動には、リスクアセスメント・・・”
等が要求されています。

 また、(4)箇条8.1.3製品安全では、“ハザード(hazards)の評価及び関連するリスクのマネジメント”との要求事項(8.1.1参照)があります。

 「リスクと機会への取組み」、「運用リスクマネジメント(新技術、製造能力及び生産能力、短納期)、設計DFMEA, 工程PFMEA, FMECA)」及び「ハザード(hazards)の評価」は、どのように関係しているのか、どのように取り扱えばよいのか疑問になります。

文責:門間 清秀

連載コラム  第1回 リスク及び機会への取組み

(2017年5月12日)


JIS Q 9100規格の箇条6.計画、6.1“リスク及び機会への取組み”とありますが、

@この目的は何なのか。
Aそれは何時やるのか、具体的に
B何を、
C誰が、
Dどのようにすればよいのかなど理解できない面があります。
理解できないので品質マニュアル作成はもちろんのこと、活動をどうすればよいのかわからない。これが説明できるとよいですね。

@Why,AWhen,BWhat,CWho,DHow 4W1Hのことです。一つ抜けているのがWhereですが、これは不要ですね。(5W1H順番が教科書と違うのは、ご了承ください)。

1.「リスク及び機会への取組み」の目的・・・@Why:なぜ取組むのか?

この目的として、箇条6.1.1では、4項目を挙げています。1項目ごとに

a)QMSが、その意図した結果を達成できるという確信を与える。
   ・顧客及び法令・規制要求事項を満たした製品を一貫して提供できること。
   ・顧客満足を向上させる機会を増やすこと。

b)望ましい影響を増大する。
   ・良い結果、良い方向、プラスにはたらくことを増大させること。

c)望ましくない影響を防止又は低減する。
   ・悪い結果、悪い方向、マイナスにはたらくことを防止又は低減させること。

d)改善を達成する。
   ・省略

2.「リスク及び機会への取組み」は、何時やるのか・・・AWhen

a)箇条6.1.1 QMSの計画を策定するとき
   ・QMSを初めて構築するときです。

b)箇条6.3 「変更の計画」・・・QMSの変更の必要性を決定したとき
   ・例として、顧客及び法規制要求事項が変化したとき、工場移転、組織の大幅変更といったときです。
    JIS Q 9100:2009→JIS Q 9100:2016の改正は、JIS Q 9100:2009でQMS構築していた
    組織にとって“QMSの変更の必要性を決定”のときですね。

3.「リスク及び機会への取組み」で何をやるのか・・・BWhat

a)箇条4.1 「組織及びその状況の理解」、
   すなわちQMSの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える外部及び内部の課題を明確にし、

b)また、箇条4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」、
   すなわち、QMSに密接に関連する利害関係者からの要求事項を明確にして、

c) 箇条4.3「QMSの適用範囲の決定」、及び箇条4.4「QMS及びプロセス」を明確化することです。

まだ、「リスク及び機会への取組み」でなにをするのかについて話していませんね。
しかし、その前に、

d) 「外部及び内部の課題」「QMSに密接に関連する利害関係者及びそれら密接に関連する利害関係者からの要求事項(製品要求事項を含む)」
から「リスク及び機会への取組み」を決定することです。

4.「リスク及び機会への取組み」事項は、誰が決定するのか・・・CWho

   ・トップマネジメントです。

5.「リスク及び機会への取組み」は、どのようにするのか(方法)・・・DHow

   ・箇条4.4「QMS及びプロセス」で取組む”のでよい。すなわち、“QMSを構築して取り組むのでよい”
   ・または、箇条8.1「運用の計画及び管理」で取組むのでもよい。
   ・さらには、個別的な課題については、箇条6.2.1の「品質目標」に採り上げて対処してもよいことになります。
   ・そして、“取組みの有効性評価”は、箇条9.1「監視、測定、分析及び評価」の中でやればよいのです。

何か紛らわしいですね。
次回は、「リスク及び機会の取組み」をどのように決定するのかについて、解説します。

文責:門間 清秀

連載コラム  第2回 リスク及び機会への取組みの決定

(2017年5月18日)


 リスク及び機会への取組みの決定は、箇条6.1.1目的、箇条4.1「組織の内部及び外部の課題」及び箇条4.2「密接に関連する利害関係者の要求事項」から検討することになります。

 また、規格では、「リスク及び機会への取組み」について、“製品の適合(品質)への潜在的な影響と見合ったものでなければならない”と、言い切っています。つまり、外部、内部の課題等について“すべてに対して対策、改善等を行う必要性はない”と言っているのです。

 さらに、箇条6.1.1の注記1で「リスクの取組みの選択肢」を、注記2では「機会の例」を示しています。

注記1 リスクの取組みの選択肢
 @ リスクの回避
 A ある「機会」(注記2参照)を追及するためにリスクを取る
 B リスク源を除去する
 C 起こりやすさを変える
 D 結果を変える
 E リスクを共有する
 F 情報に基づいた意思決定によってリスクを保有する

注記2 機会の例
 @ 新たな慣行を採用
 A 新製品の発売
 B 新市場の開拓
 C 新たな顧客への取組み
 D パートナーシップの構築
 E 新たな技術の使用
 F 組織のニーズ又は顧客のニーズに取り組む

 注記1の「リスクの取組みの選択肢」、及び「機会」を追及するのは経営者です。したがって、「リスク及び機会への取組みの決定」するのも経営者の責務です。

経営者は、規格箇条5.1「リーダーシップ及びコミットメント」、箇条5.1.1「一般」で要求している下記事項と統合して、「リスク及び機会への取組み」を推進、管理することになります。
 b)QMSに関する品質方針及び品質目標を確立し、
    それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。
 c)組織の事業プロセスへのQMS要求事項の統合を確実にする。
 d)プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。

文責:門間 清秀

連載コラム  第3回 運用リスクマネジメント

(2017年5月26日)


 箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」では、“リスクアセスメント基準(例えば、発生確率、影響の程度、リスクの受容)の決定”といった、技術的、管理的な面からの基準を定めて、適用される要求事項の達成に向けた運用リスクを管理することを求めています。

しかし、現実的にリスクアセスメント基準の例である「発生確率」、「影響の程度」をどのように定めてよいかわからないというのが現実と思います。

 大量生産している自動車、電子機器、あるいは航空エンジン機器等においては、過去の故障、不適合の発生に関するデータを基に、設計FMEA(DFMEA)、工程FMEA(PFMEA)を行うことができます。

しかし、例えば、新規に航空宇宙産業に参入する(参入した)機械加工メーカにとって、リスクの発生確率、影響の程度をどのように定めてよいかわからないのが実情です。

 運用リスクについては、下記の箇条で要求されています。すべて、航空・宇宙・防衛産業向けの要求事項です。

箇条8.2.2「製品に関する要求事項の明確化」d)“運用リスク(例えば、新技術、製造能力及び生産能力、短納期)が特定されている。”

 箇条8.4.1“組織は、外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品及びサービスの外部提供に関するリスクを特定し、マネジメントしなければならない。”

 箇条8.4.2「管理の方式及び程度」では、・・・“外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの検証活動は、組織によって特定されたリスクに従って実施しなければならない。模倣品のリスクを含め、不適合のリスクが高いとき、該当する場合には、必ず、検査又は定期的な試験を含まなければならない。”

 箇条8.4.2の最終段落では、“顧客又は組織が、材料を重大な運用リスク(例えば、クリティカルアイテム)と特定した場合、組織は、試験報告書の正確さの妥当性確認を行うためのプロセスを実施しなければならない。”

 随所に運用リスクへの対処について要求されています。前述したリスクアセスメント基準の例である「発生確率」、「影響の程度」を定めて実施することに違和感がありますし、現実的ではありません。

 次回は、どのように対処すればよいかを解説します。  

文責:門間 清秀

連載コラム  第4回 リスクアセスメント基準 

(2017年6月12日)


JIS Q 9100:2016規格8.1.1「運用リスクマネジメント」の要求で、b)リスクアセスメント基準(例えば、発生確率、影響の程度、リスクの受容)が示されています。しかし、リスク(心配事)が発生したときの「影響度の程度」は、わかったとしても「発生確率」は、なかなかわかりません。どのように基準を設定すればよいのでしょう。

【参考:発生確率の推定は、過去の実績(事実・事例)をベースにして、近未来を推定しています。例えば、地震の発生確率と発生したときの影響度の推定はその例です。あるいは、自動車で発生する故障モードの確率とその影響度は、大量生産、市場での事例から推測できます。】

では、機械加工メーカーでのリスクアセスメント評価は、どのようにすればよいのでしょうか。
 発生確率にこだわらないことです。例えば、機械加工メーカーについて考えてみましょう。
 実際の例ではありません。非常に極端な例です。

 現在、材料がAl、Steelベースで切削加工を主生業としている場合、Inco718等の難削材加工には、リスクがあります。またCFRPの加工となれば、さらに大きなリスクとなります。 また、加工公差が±0.1以上の加工を主生業としメーカーにとって、±0.01の加工については、リスクがあり、さらに±0.001の加工では、さらに大きなリスクとなります。お解りですね。
 レベル評価(難易度)すれば、Al、Steel=レベル1、Inco718=レベル2、CFRP=レベル3となります。これが「発生頻度」に代わる「加工法」のリスクアセスメント評価基準です。

 それでは、「影響度の程度」については、どのように評価するのでしょう。
 Al、Steelベースで切削加工のみ対象としていたメーカーが、Inco718等、又はCFRPの加工を請負いし、多くの不適合品を発生させたとき、それを解決するまでの「日程への影響度」を考えることです。Inco718では、解決まで1〜3ケ月間を要し、CFRPでは半年以上かかるとしましょう。
レベル評価をすれば、Ai, Steel=レベル1、Inco718=レベル2、CFRP=レベル3となります。同様なことは、加工公差についてもいえることです。

 それでは、「リスクの受容」について考えてみましょう。
 「加工法」レベル×「日程への影響度」レベル=1〜9になります。1,2,3,4,6,9のいずれかです。 一般には、レベル1,2は、自動的に「受容リスク」です。特に事前のアクションを取らないことです。レベル6,9については、必ずアクションを取るか、受注やチャレンジを取りやめることであり、レベル3,4はアクションを取るか、「受容リスク」とするか状況によって決めます。

 上記は極端な例ですが、リスクアセスメント基準の設定の考え方である、設計FMEA, 工程FMEAの手法です。上記の例では、「日程への影響度」など検討しなくとも評価・判断することができると思います。

規格の箇条8.2.2d)では、“運用リスク(例えば、新技術、製造能力及び生産能力、短納期)が特定されている”との要求があり、箇条8.4.1では、“組織は、外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品及びサービスの外部提供者に関連するリスクを特定し、マネジメントしなければならい”と要求しています。では、これらの要求に対してどうするかです。

(1)顧客との引き合いの段階で、リスクの有無を社内関係者間で協議することです。
    箇条8.1「運用の計画及び管理」の中で、g)項“運用の計画及び管理に対して影響を受ける組織の
    代表者の参加”を要求しています。

(2)同じく顧客との引き合いの段階で、リスクがあると判断し、遂行が困難と判断する場合、顧客と協議する
    ことです。箇条8.2.3「製品及びサービスに関する要求事項のレビュー」で、・・・ “このレビューは、組織の
    該当する機能と調整しなければならない。このレビューにおいて、顧客要求事項が満たされない又は部分的に
    しか満たされないということが判明した場合、組織は、相互に受入れ可能な要求事項を顧客と交渉しなければ
    ならない”とうたっております。リスクへの取組みの実際的なやり方で、関連する人々と検討することです。。

 今回のリスクアセスメント基準に係る要求事項は、箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」への航空・宇宙・防衛産業に対する特有な要求事項です。「リスクマネジメント=予防活動」として活動されることを望みます。      

文責:門間 清秀

連載コラム  第5回 ハザード評価 

(2017年6月16日)


 規格JIS Q 9100:2016 箇条8.1.3「製品安全」プロセスの例として“ハザード(Hazards)の評価及び関連するリスクマネジメント(8.1.1参照)”が要求されています。

 箇条8.1.3「製品安全」の要求内容は、“組織は、組織及び製品に適切に、製品ライフサイクル全体で製品安全を保証するために必要なプロセスを計画し、実施し、管理しなければならない。”とあり、
また、「製品安全」の定義3.4では、“組織が人々への危害又は財産への損害に至る許容できないリスクをもたらすことなく、設計した又は意図した目的を満たす状態”としています。

 ハザード評価とは、“人々への危害又は財産への損害に至る許容できないリスクをもたらす度合い”を評価することです。事例で話を進めましょう。

 1996年7月6日、米国ジョージア州ペンサコラ空港で、フロリダ発アトランタ行、デルタ航空1288便、MD-88型機に搭載したPW社JT8D-219エンジンのコンプレッサハブが破損、飛散し、搭乗客二人が死亡、二人が重傷となりました。

以下は、FAA、EASAのエンジンに対するSafety(製品安全)に関する分類です。3種類に分類されています。

  • Hazardous(危険な)Engine Effect・・・人命に影響を与える恐れあり
    ・高エネルギー破片の放出、キャビンへの有毒ガスの流入等、損傷事象を個々に特定
    ・発生確率は、極めて低い(1,000万飛行時間に1回以下)ことが要求

  • Major(重大な)Engine Effect ・クルーのワークロードの大幅な増加、又は安全マージンを減らす事象
    ・エンジン停止や消火器により消火できる火災、低エネルギー破損の放出、等々
    ・発生確率は、低い(10万飛行時間に1回以下)ことが要求

  • Minor(重大でない)Engine Effect
    ・運行中で推力の部分的、又は完全な喪失は想定されており、航空機はこの条件下でも制御された
     飛行は可能
    ・このような外部に影響を与えない推力低下は、Minor


以下は、Hazardous Engine Effectの「事象の定義」と「発生確率の要求」です。

  • a)事象の定義
     @高エネルギー破片の非封じ込め(Non-Containment)
     Aキャビンや乗客の行動能力を奪うのに十分な有毒物質のエンジン抽気
     Bパイロットの意思に反する顕著な(Significant)逆噴射
     C消化できない(Uncontrolled)火災
     D不慮のエンジン脱落を引き起こす恐れのあるエンジンマウントの損傷
     Eエンジンによるプロペラの脱落(Release)・・・ターボプロップの例
     Fエンジン停止機能の喪失

  • b)発生確率要求
     ・@~Fそれぞれの損傷モードの発生確率は、いろいろのケースの総和として、10-7/飛行時間以下、
      又はそれぞれのケース毎に10-8/飛行時間以下
     ・10-7/飛行時間以下・・・1,000万時間に1回以下の発生を意味する。
      BoeingのHomepageでは、777は1995年以降1,800万飛行時間に到達
     (双発エンジンとしては、3,600万飛行時間に相当)・・・Hazardous Engine Effect発生なし

  •   根拠出典:(FAA)Title 14 CFR Part 33, (EASA) Certification Specification CS-F

 ハザード評価は、航空機、そして一般には装備品毎に求められるもので、設計段階で達成できるか否かを計算・分析・評価していくものです。製造段階では、その評価でクリアしたデータ等 の図面等で製品を確実に製造していくことです。

文責:門間 清秀

連載コラム  第6回 FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)

(2017年7月21日)


 FMEA(故障モード影響解析)のほかに、FMECA(Failure Mode, Effect and Criticality Analysis 故障モード・影響及び致命度解析)とも呼ばれ、システムを構成する各コンポーネントや部品について、故障モードを調べ、それぞれの故障モードによるシステムへの影響と重大さを評価し、必要な対策を重点的に設計及び製造に反映する手法です。JIS Q 9100:2016箇条8,1b)
注記:“製品の特性及び規定要求事項に応じて、次の事項の補助として、統計手法を用いることができる。”として
     要求されています。

 DFMEA(設計FMEA)とPFMEA(工程FMEA)があります。航空宇宙産業では、もっぱら設計・開発段階で活用されているリスクマネジメント手法の一手法です。ここでは設計FMEAについて解読しましょう。

(1)FMEAは、次の観点から解析する手法です
  @システム又は部品の故障は起こり得る。
  Aその起こり得る故障をどのように少なくするか。
  B故障が起こっても目的を達成するためにどうするか。
  Cシステムが致命的なダメージを避けるにはどうするか。
 航空機産業から発展した信頼性評価手法です。

(2)システム製品の故障
  航空機の部品数と故障モードの数は、膨大です。
  上記(1)に関して、電子装備品について考えてみましょう。
  A 故障をどのように少なくするか → 高信頼度部品(材料)の採用
  B 故障が起こっても目的を達成するためにどうするか → 冗長性(2重、3重系統)
    例:B747旅客機・・・エンジン4発、油圧系統3重 一又は二系統が破壊しても大丈夫
  Cシステムが致命的なダメージを避けるにはどうするか → フェールセーフ 
    例:航空機エンジンに鳥が吸い込まれ、停止しても爆発せず、機体はセーフ
                                     *ハドソン川の軌跡 

 このような設計を「信頼性設計」と呼びます。

 上記からわかりますように、高信頼度部品を採用し、故障に頻度を下げる。また、2重、3重、4重系統にして、1系統、2系統が故障しても3系統、2系統が生き延びるようにする。また、最悪でも製品は、壊れても人間に危害を加えない設計です。これは、JIS Q 9100:2016箇条8.1.3「製品安全」につながります。
(参照:リスク解読シリーズ:第5回 ハザード評価)

 次回は、8.1.1運用リスクマネジメントb)リスクアセスメント基準(例えば、発生確率、影響の程度、リスクの受容)について、故障率(発生頻度)の面から解説します。

文責:門間 清秀

連載コラム 第7回 工程FMEA

(2017年10月6日)


当社【連続コラム】リスマネジメント シリーズ第6回では、設計FMEAを解説していますので今回は工程FMEAについて紹介します。JISQ9100:2016箇条8.1.1運用リスクマネジメントと関連しています。

1.工程FMEAの内容・・・以下のとおりです。
(1) 設計FMEAを製造工程に適用したもの
(2) 設計の意図した機能・性能をもつ製品が量産で問題なくできるように、工程面から検討する手法
(3) 工程設計段階で予想される不適合とその防止策を検討
(4) 工程設計段階で不適合発生防止のために管理すべき特性の決定、あるいは管理の重点を検討

2.工程FMEAの実施手順・・・以下のとおりです。
(1) 工程の流れを確認する(QC工程表を活用する)
(2) 工程の明確化とブロック図を作成する
(3) 工程ごとの不適合モードを列挙する
(4) 重要な不適合モードを選定する
(5) 具体的な改善、対策を実施する

3.リスクアセスメント基準:発生頻度の例 ランクの高いのは悪い
  ・極めて高い・・・1回/(毎日〜1週間) 又は 不適合率 10%以上  ランク5
  ・高い・・・・・・1回/(1週間〜1か月) 又は 不適合率 1%〜10%  ランク4
  ・時として発生・・ 以下 省略

4.リスクアセスメント基準:影響度の例  会社及び製品により異なる。
  ・10%製品が廃却となる・・・・・・・ ランク5
  ・1%~10%未満が廃却となる・・・・・ ランク4 
  ・以下 省略

5.リスクアセスメント基準:受容リスク 例
  ・RPN(Risk Priority Number)=発生頻度ランク×影響度ランク=1~25
  ・受容リスク 例 :RPN=4以下 等

 いろいろと述べましたが、航空宇宙産業での製造ロットが少なく、製造工程数が少ない企業にとっては、簡便法があります。また、自動車産業では、より厳しい要求があります。

文責:門間 清秀