トピックス


2018.1.16JIS法違反 罰金100倍に 経産省が正式決定

経済産業省は10日、日本工業規格(JIS)のあり方を検討する審議会を開き、工業標準化法(JIS)に違反した企業の罰則を今の100倍にあたる1億円に引き上げることを正式に決定しました。22日に招集予定の通常国会でJIS法の改正案を提出する方針です。

 日本農林規格(JAS)など同様の品質保証制度で違反した場合の罰金額が最大1億円になっていることを踏まえ、引き上げ幅を決めました。日本のものづくりをめぐっては、神戸製鋼所や三菱マテリアルなどで品質管理体制の不備が相次いでいるからであり、罰則強化で企業の意識改革と信頼回復につなげる意向です。
(日本経済新聞 2018.01.10)

私見
 日本における産業活動は、欧米の「性悪説に基づく法律・標準化・規格化」に比べて、全般的には、「性善説」に基づいた慣習等で活動されてきました。しかし、最近の不正事案に鑑みるとそのようなことでは、「検査データの改ざん」等は是正されないと判断した結果の罰金100倍になったことは明確です。効果は限定的でしょう。

 例えば、「飲酒運転者、同乗者への罰金」の例は、個人にとって高額な罰金であり、また、会社からの罰則もあり、効果があがることとなります。

 大企業にとって1億円は、大金ではなく、それよりもブランド価値が大きく損なわれます。企業として、罰金を払えばよいという考えに陥らず、企業風土の改革に進んでいただきたいものです。

文責 門間
2018.1.12リスクマネジメント及びヒューマン・エラー防止セミナーのアンケート結果

 昨年12月に神戸及び東京開催の上記セミナーにおいては,62名様のご参加を迎えて,好評のうちに終えました。
その中で特に関心を寄せられたのは,

(1)リスクマネジメントにおいては,次の2点です。

  • 「リスク及び機会への取組み」
  • 「運用リスクマネジメント」

(2) ヒューマン・エラー防止については,
 提示しましたVTA(Variation Tree Analysis),いきさつダイヤグラム,なぜなぜ分析,
 PSF(Performance Shaping Factor管理), m-SHEL,4Mのうち

  • 「なぜなぜ分析」及び「m-SHELモデル」の関心度合いが高かったです。

(3)改善要望とましては,

  • 「スク及び機会への取組み」については,具体的にQMS要求に対する展開
  • 「運用リスクマネジメント」については,工程FMEAについて説明してほしかった。
  • 「なぜなぜ分析」,「m-SHEL」については,ケーススタディを多くしてほしかった。

 4月13日の愛知にて開催します「本セミナー」においては,ご参加者の要望を踏まえて,解説してまいります。

 なお,これ以外のご要望のセミナーを聴取しましたら,「模倣品の防止」,「製品安全」,「SJAC9068A」が多くあり,最近の日本製造工業界での発生している「検査データの改ざん」との関係があると推察しています。

リスクマネジメントセミナー(半日コース/午前)
ヒューマンエラー防止セミナー(半日コース/午後)

日程 開催場所
4月13日(金) 愛知開催 ルネックビル 愛知県春日井市松新町1丁目4番地)

セミナーの詳細及び申し込みはこちらから>>>

文責 門間
2018.1.4公正なQMS構築・運用による信頼ある企業様へとサポートさせていただきます! 

 新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては明るい、楽しい新年を迎えられたことと存じます。

 航空宇宙産業で活動している企業様にとって、一昨年にJISQ9100:2009版規格から大幅に改訂された2016規格への移行対応の品質マネジメントシステム構築・運営とそれへの対応審査は、本年9月(実質的には6月)をもって完了するように取り組んでおられることと存じます。

 弊社は、昨年はJISQ9100関連セミナーに加えて、新規セミナー「リスクマネジメント」、「ヒューマン・エラー防止」を立ち上げ、多くのご参加者の皆様から好評をいただきました。本年も続けてまいります。

 一方、その際、参加の皆様から頂いたアンケートにおいて、要望されました「模倣品の防止」、「製品安全」、「SJAC 9068」、「第二者監査」等のセミナーを設定・提供し、皆様のご要望にお応えしてまいります。

本年も、旧年にもましてご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

株式会社ティ・エフ・マネジメント
代表取締役      
門間清秀
2017.12.22「枯渇」の例  米にエンジン部品輸出 F15,F16戦闘機向け  

 JIS Q 9100:2016規格箇条8.1.4「模倣品の防止」の要求事項に,“注記 模倣品防止プロセスは次の事項を考慮することが望ましい。−部品の旧式化・枯渇(obsolescence)の監視プログラムの適用”があります。この事例が,上記タイトルの「米にエンジン部品輸出 F15,F16戦闘機向け」です。

 日本政府は18日国家安全保障会議で,F15,F16戦闘機に使う「F100エンジン」の部品を米国に輸出することを決めました。なぜ,そのことが,“枯渇”の例なのかを解説します。

 米国ではメーカーが4つの基幹部品の製造から撤退し,米国では調達が困難になったからです。米国では,F15及びそれに搭載するF100エンジンを1970年代から製造してきていました。
しかし,F15の新規生産はとっくになくなっても, F100エンジン部品の製造は、補用部品として細々と米国メーカーが担ってきました。そのメーカーが同部品の製造することをやめることにより,IHIが生産し,米国P&W社に供給することになったというものです。

 つまり,世界中で運用中のF15,F16戦闘機の消耗したエンジンを随時,新品に交換する必要がありますが,4つの基幹部品は,米国では“枯渇”状態に陥ったというわけです。枯渇の状態をそのままにしておくと,無許可の複製品,代用品が出回ることになります。
もっとも,このような基幹部品については,複製品,代用品が出回る確率は,非常に小さいことですが。 (日本経済新聞 2017.20.19 の記事から“枯渇”の部分について解説)  

文責 門間
2017.12.15組織の知識(Organization Knowledge)の管理について  

 本要求事項は,ISO 9001:2015で強化された要求事項です。企業としてビジネスを推進する上で必要となる知識です。もちろん,ここではQMSを運営するのに必要な知識と製品の品質を確保・保証する上で必要となる知識です。当然ながら各産業界,各企業によって異なります。

 また,ここでの“必要な知識”とは,QMSでいえば,品質マニュアル,細部規定等そのものではなく,それを構築し,運営するノウハウです。製品では,製品を製造するための図面や作業手順書等そのものを指しているのではなく,適正な又は最新技術を盛り込んだ図面や作業手順書等を作成するうえで必要となるノウハウです。

 規格箇条7.1.6で,内部の知識源の例として,知的財産,経験から得た知識,成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓等を挙げております。外部の知識源の例としては,標準,学会等からの知識等を列挙しています。ノウハウは,何らかの形(文書又はデータ)で残すことが大切です。

 そして,これらの情報は,@適切に維持管理されて,A最新の状態にし,B関係者が閲覧できるようにしておく。さらに,C改訂者の制限,D秘密文書(データ)等に対する特別な管理をするといったセキュリティ管理も必要です。
最近は当たり前になってきていますが,現実には大企業は別として,これらの管理を専門部門が担当するようでなければ,維持管理が容易でないことも事実です。

 翻って,この箇条(Knowledge)は,当社のナレッジを整理・まとめ,維持管理する機会を当社に与えてくれました。
1999年TFM(当社)を設立し,QMS,FMEA等のセミナー,QMS, Nadcap認証取得支援,経営支援等を通して培ったノウハウは,データとしては保持されています。 しかし,新規社員が入社して感じたのは,ノウハウの伝承がスピーディに出来ないことに直面しました。現在は,Man to Man,かつOn the Job Training での徒弟制度的な伝承と言わざるを得ません。

 例えば,“講演のデータ”が顧客別(主として自治体別)に保管されている場合,新規顧客に対して,事前と同様な“講演”を行う際に,その顧客データを探すのに無駄な時間を費やしています。
講演種別(JIS Q 9100,Nadcap,経営支援等々)でも検索できるようにしておけば,容易にピックアップできます。JIS Q 9100等のQMSコンサルタントとして恥ずかしいことですが,新年度の目標として取組むテーマの一つです。

 全然やってこなかった訳ではありません。その例が,2010年では,書籍“JIS Q 9100航空宇宙QMS実務ガイドブック”を発行し,プロジェクトマネジメント,リスクマネジメント,キー特性,特殊工程,合否媒体の管理等,20項目にわたり解説しました。

また,2011年には,書籍“航空宇宙品質技術者へのメッセージ”を執筆,発行し,その中でJIS Q 9100要求事項の読み方,特殊工程(Nadcapを含む),購買管理,FMEA等々を解説してきました。製品技術及び管理技術の進歩と相まって,それらのノウハウ等を維持,更新する必要もあります。

 新年度は,模倣品の防止,製品安全等を外部のナレッジとしてまとめ,それらを航空宇宙産業界の皆様に提供できるよう計画している次第です。

文責 門間
2017.12.12検査データ改ざん」について、当事者が是正処置等を提示 

(1)神戸製鋼所はデータ改ざん再発防止に100億円 データ記録自動化 12月10日

 神戸製鋼所は製品データ改ざん問題の再発を防ぐため、2018年度にかけて約百億円を投じ、検査データを自動的に記録するシステムなどを整備します。
 国内八拠点で、不正が五年以上と長く続いた上に複数の部署にまたがる組織的な関与が認められたことから、改ざんが生じない環境を整え、顧客の信頼を戻したい考え方です。
 データ記録の自動化は、M製造所やC製造所などアルミ・銅事業所に進めます。自動化できない部分は、複数の社員で点検する仕組みをつくって補います。品質のばらつきを減らし、不合格品の発生を抑えるため生産設備も改善する方針です。(中日新聞 12月10日)

私見:@品質ばらつきの低減改善(製造条件の変更、生産設備の最新化)、A検査データの自動化に至急取り組むことは適切ですね。Bしかし、検査データを自動化したとしても、「検査証明書」を作成時には、自動検査データを基にして「人」が作成するのであれば、「人」が介在します。むしろ、「検査証明書」に自動検査データを添付する対策は? 最終的には、企業の倫理的行動の醸成が重要ですね。

文責 門間

(2)「トクサイ」再考に言及 「新しい物差し必要」 12月5日

 東レの日覚昭広社長は4日、日本経済新聞の取材に応じ、子会社の製品データ改ざん問題について「許されないことで契約を守る倫理観が薄かった」とあらためて陳謝しました。顧客の同意があれば契約した品質基準を下回っても製品を出荷できる「特別採用(トクサイ)」の再考にも言及しました。(中略)
 法令違反はなく、安全性に問題はないが、日覚社長は「品質管理は基本中の基本。契約外の品質のものを入れることは絶対許されない」と語りました。・・・品質データの測定から検査証明書の発行まで人手を介さない再発防止策も12月中に導入するとのことです。(中略)

 トクサイは日本工業規格(JIS)にも定められ、顧客の承認があれば強度や寸法など規格外品でも出荷できる商慣習です。素材産業業界で相次ぎ発覚しているデータ不正には、トクサイを隠れみのにした例が多い。
日覚社長は「日本では(サプライヤーと顧客の)信頼関係があって(規格外でも)高い品質を保証するトクサイが成り立ってきたが、欧米流では品質が悪いものを採用するようにみえる。何か新しい物差しを考える必要があるのではないか」と指摘しました。

 例えば強度や耐久性など品質のグレードごとに製品の取引条件を区分。顧客は品質に応じてサプライヤーと契約し、その品質データは絶対値として順守するように求めること。トクサイに見られるような「契約した値を下回っていても構わない」といった曖昧さを排除できるため、品質管理もしやすくなるというものです。

私見等
@品質データの測定から検査証明書の発行まで人手を介さない再発防止策はよいことです。
Aトクサイが、日本工業規格(JIS)に定められているとは知りませんでした。
B繊維業界では、品質のグレードごとに製品の取引条件を区分しています(商慣習)。
C特別採用は、AS/EN/JISQ9100箇条8.7で、“当該の権限をもつ者及び顧客(該当する場合には、
  必ず)からの、
特別採用による受入の正式な許可の取得。”
  “設計に責任のある組織の権限をもつ代表者又は設計組織から権限を委譲された人々による
  承認後”
と定めています。
航空宇宙防衛産業での“特別採用”の事項を削除することは、現時点では困難でしょう。

文責 門間
2017.12.01模倣品の防止 その対応(受入検査) 

 模倣品については、材料、部品、コンポーネント等が大半を占めており、鋳造品、鍛造品、組立品等は、ほとんどないといってよいです。理由は、模倣品として鋳鍛品を製造する場合、金型等を準備しなければならず、メリットがないこと。鋳鍛品等は、外観ですぐ模倣品か否か判明するからです。

 材料については、製品で模倣品か否かを外観で判明することは、困難です。現在、日本の材料メーカーで起こっている「検査記録の改ざん」への対応です。

(1)受入検査での記録の確認の仕方(その1)
  受入検査で、メーカーの「材料証明書」を、納入された「対象の一製造ロット」の記録だけを確認しても「改ざんしたか
  否か」わかりません。記録では、合格しているように記載(改ざん)しているのですから。
  「対象の一製造ロット」の記録だけを確認するのではなく、1カ月前、2カ月前、3か月前等の記録と比較して検査
  することです。「化学分析結果」、「引張強度」等の数値が、“すべて同じ”で製造ロット番号、及び製造日付が
  “異なっていれば”、「記録を改ざん」している可能性が高いのです。

(2)受入検査での記録の確認の仕方(その2)
  正規製造業者、承認された製造業者から製造されたAMS、JIS材等の公共規格での材料を発注している場合の
  受入検査への対応です。
  本来なら、偽造するメーカーは正規製造業者、承認された製造業者が製造したことを記載すべきことを、「材料
  証明書」に正規製造業者、承認された製造業者が製造したことを記載せずに、AMS、JIS材に適合しているとして
  いる場合です。それは、受入検査側の受入検査のやり方(正規製造業者、承認された製造業者が製造したことを
  確認していない)が悪いのです。

(3)受入検査での記録の確認の仕方(その3)
  受入検査で「化学分析」、「引張強度」等を抜き打ち的に実施し、「材料証明書」と自ら試験した結果を比較評価
  することです。このことは、規格箇条8.4.2に「材料を重大なリスクとして識別する場合、組織は、試験報告書の
  正確さの妥当性確認を行うためのプロセスを実施しなければならない」との要求事項を実施することです。

(4)源泉検査(受入検査)での記録の確認の仕方(その4)
  メーカーの製造工場の材料試験室に出向き、「試験記録」を確認することです。生のデータを確認することです。
  「材料証明書」は、証明書であって記録ではないのです。生の電子データを確認することです。これを拒否するとした
  場合、疑念があります。もっとも、現場に出かけて確認することを、「品質管理仕様書」等を契約の一部として合意
  しておく必要があります。

 筆者は、(1)〜(3)に関し、そのような受入検査を直接又は間接的に経験していた事項です。

 部品については、「正」の部品を常に手元に置いて、いつもの受入検査の対象の部品と違うと疑念が出た場合、「正」の部品と比較することです。標準部品、電子部品のマーキング若しくはラベルの貼付、シリアルナンバー、日付コード等の偽の識別がなされているからです。

文責 門間
2017.11.24模倣品の防止 JIS Q 9100:2016箇条8.1.4 

 模倣品の対象は、材料、部品、コンポーネント等であり、これらの模倣品が市場に出回る背景には、一つには、航空機(民間機、軍用機等)の運用期間が40年〜60年にも及びます。
この期間における電子部品等の性能は飛躍的に向上し、補用品として調達するにしても該当部品は製造中止(設備が旧式化し、最新設備に代わり40年前の電子部品を製造していない)になっている状況があります。

規格で旧式化/枯渇と呼んで、必要な部品が調達できないことになります。
この問題を解消するためには、大幅な設計変更して実施する必要があります。しかし、それを十分な検証もせず、複製品、偽物、代用品又は改造品、いわゆる模倣品が製造され、市場に出回るのです。

 二つ目は、正規製造業者、承認された製造業者から製造された材料、部品等は、市場に提供する前に、認定された試験機関あるいはプライム企業により環境試験、信頼性試験等が徹底的に実施され、PMA, QPM, QPL又はプライム企業により認定又は承認されます。
これらの環境試験、信頼性試験等には長時間と多大の労力を必要としますので、材料、部品等の価格は、高価になります。一方、これら試験を行わない材料、部品等、故意に偽られた無許可の複製品、偽物、代用品又は改造品(いわゆる模倣品)が低価格となり、市場に出回ることになります。

 上記二件について、模倣品でないように見させるため(偽装工作)の方法が、マーキング若しくはラベルの貼付、シリアルナンバー、日付コード等の偽の識別を行います。

 この模倣品であることを見分ける手法は、どのような方法があるのでしょうか。それは、材料、部品、コンポーネントによって違いがあります。その方法は、それぞれ特徴があります。
それには、次回に解説します。

文責 門間
2017.11.13JISQ9100:2016版が、2009年版に比べ大きく変更、又は追加された事項

上記については、弊社のメルマガ、又はJISQ9100規格解説書で述べてきましたが、その追加改訂された箇条は、箇条8.4.2「(供給者の)管理の方式及び程度」であり、箇条8.1.3「製品安全」及び「模倣品の防止」です。

これらの事項は、関係がないようですが、関係しています。それは、品質保証活動が、性善説では品質確保だけでなく、安全確保ができなくなってきているという状況・状態が顕著になってきているように最近に事案から見受けられます。

箇条8.4.2「(供給者の)管理の方式及び程度」の中では、次の3点について要求しています。
いずれもJISQ9100特有の要求事項です。

(1)外部から提供されるプロセス及び製品の検証活動は、組織によって特定されたリスクに従って実施しなければならない。模倣品のリスクを含め、不適合のリスクが高いとき、該当する場合、必ず、検査又は定期的な試験を含まなければならない。

(2)外部提供者の試験報告書が、外部から提供される製品を検証するために利用される場合、組織は、その製品が要求事項満たしていることを確認するために、試験報告書のデータを評価するプロセスを実施しなければならない。顧客又は組織が、材料を重大な運用リスク(例えば、クリティカルアイテム)として識別する場合、組織は、試験報告書の正確さの妥当性確認を行うためのプロセスを実施しなければならない。

(3)外部提供者に検証活動を委譲する場合には、組織は、委譲について適用範囲及び要求事項を定め、委譲登録を維持しなければならない。組織は、外部提供者の委譲された検証活動を定期的に監視しなければならない。

この要求事項3件は、組織(発注側)に対し、“外部提供者(サプライヤ)を、そう簡単に信用せずに、検証(検査、試験)を行うこと”を要求しているのです。

 (2)は、今回の日本のK社に関連する事項ですが、発注側は、このような活動は実施しているでしょうか。
 (3)は、今回の日本のN社とS社に関連する事項で、監督官庁が要求している事項です。

次回は、「模倣品の防止」について解説します。  

文責 門間
2017.11.13ロボット宇宙フェスタふくしま2017開催のご案内

11月22日・23日にふくしま県にて、「ロボット宇宙フェスタふくしま2017」が開催されます。

ビジネス向け展示・商談会 11月22日(水)10:00〜17:00
ビジネス&一般向け展示会 11月23日(木)10:00〜16:00

会場:ビックパレットふくしま

ロボット宇宙フェスタふくしま2017案内.PDF

2017.10.27大企業の不正とビジネスリスク(2017.10.27) リスクマネジメント・セミナー関連

 JIS Q 9100:2016で取り上げているリスクマネジメントには,具体例として,事業(ビジネス),新技術,製造性,生産性,短納期,サプライヤ活用等のリスクがあります。
来る12月4日(神戸),11日(東京)に開催する「リスクマネジメント・セミナー」においては,QMSに関する「事業リスク」についても解説する予定です。

 航空エンジンプライム企業の「契約条項」には,「事業リスク」への対応が盛り込まれています。納期遅延(品質が満たさないことから起こる納期遅延を含む),及びリコール・リスク,知的財産侵害です。 

 また,QMS要求事項の「事業継続に関するリスクマネジメント」への対処として,下記事項を要求しています。

  • 製品,設備又は特有な技能(スキル)
  • 代替できる設備仕様
  • コンピューターの遠隔地のバックアップ
  • 代替できる情報技術システムの利用
  • ビジネスリカバリーへのアクションプランとタイムリーなスケジュール

ただし,この中には,“不正”のリスクについては,記載されていません。当然ですね。
だが,“QMSの最大の事業リスクは,不正”かもしれません。


 さて,“検査記録の改ざん”については,監督省庁が状況調査指示と是正要求等を行っていますが,そのような中で,経営者が謝罪した後も「改ざん」が継続されていることが判明し,国土交通省が工場に立ち入り監査に入りました。海外では,米司法省が書類提出要求を,EU EASAがK企業の航空機向け製品の購入を控える通達する事態になっています。

 一方,N自動車メーカーも同様に,経営者が謝罪した後も“認定された完成検査員”以外の“補助検査員”が,各工場で検査を続けていることが明らかになりました。その結果は,各工場が「製造停止」に追い込まれ,この事案が発表されてから自動車販売が,通常の2割減少したとの報道もあります。直接的な損失だけでなく,ブランドにも傷がつきます。

 先回お話ししました約8年前の航空機装備品の不正事案に絡んで2013年に発行された,“SJAC9068 品質マネジメントシステム−航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項−強固なQMS構築のためのJISQ9100 補足事項”があります。これに関して,弊社はSJAC9068の解説セミナーを2014年に開催し,多くの方々が参加していただきました。

その要旨は,

■ SJAC9068の制定の背景(SJAC9068:2013より)

 JAQGでは,日本の航空宇宙業界において,品質に係る事案(不正)が発生したことに鑑み,業界全体に渡り適用できる再発防止策及びQMSを,より強固にするための方策を検討した。

 その結果,主要改善事項のポイント3項目については,次の分野に盛り込むこととしている。

1.意識
 「飛行安全」, 「コンプライアンス」, 「品質第一」及び「作業指示書遵守」の意識を再徹底する。

2.コミュニケーションと問題解決
  「現場」の声に耳を傾け,問題解決につなげる。

3.AQMS*プロセス
  人的要因を極力減らすためのしくみを推進すると共にAQMSプロセスを改善する。

 

 品質保証業務に携わる人々(私を含めて)は、“心を鬼”にして対処しなければなりません。

 
文責 門間


リスクマネジメントセミナー(半日コース/午前)
ヒューマンエラー防止セミナー(半日コース/午後)

日程 開催場所
12月4日(月) 神戸開催(神戸国際会館内会議室 (JR三ノ宮駅下車、徒歩3分))
12月11日(月) 東京開催(アットビジネスセンター池袋駅前別館 (池袋駅(東口)より直ぐ))

セミナーの詳細及び申し込みはこちらから>>>

2017.10.23リスクマネジメント・セミナー(第3回 全般)

リスクマネジメントについては、本年4月より、HP【連載コラム】にて連載しております。
 本年12月、東京、神戸にて開催する「リスクマネジメント・セミナー」では、その「連載コラム」をベースとして、具体的にどのように展開するかを解説するセミナーです。

 

【連載コラム】(0回〜6回)プラス、HPメルマガで発信している内容(下記)に、具体的かつ事例を加えたリスクマネジメントを、どのように対応していけばよいか解説するものです。

 

参考に、【連載コラム】の内容は、次のようなタイトルのものです。

第0回 9100:2016のリスクに基づく考え方、運用リスクマネジメント、FMECA
第1回 リスク及び機会への取組み
第2回 リスク及び機会への取組みの決定
第3回 運用リスクマネジメント
第4回 リスクアセスメント基準
第5回 ハザード評価
第6回 FMEA(Failure Mode, Effect and Criticality Analysis)
追加(第7回)工程FMEA

【連載コラム】 リスク解読シリーズ>>>

 運用リスクマネジメントを、社内で取りまとめる責任者(管理者)に適切なセミナーです。

セミナーの詳細及び申し込みはこちらから>>>

2017.10.16ヒューマンエラー防止・セミナー:なぜなぜ分析(ご案内:第2回)

 不適合、クレーム等での問題解決に関して、「なぜなぜ分析」の企業様からのセミナー依頼が航空宇宙関係の企業様のみならず、他産業(電気、建設、鉄鋼企業)様からもあります。それは、「なぜなぜ分析」手法が、気軽に取り組めるからです。

 企業様で実施しているプログラムを紹介します。
基本は、企業様の不適合事例について、参加者の皆さんで@個人検討、Aグループワークによる取りまとめ、B発表と講師コメント の繰り返しです。参加者皆さんが主体となって学ぶ実践的なセミナーです。

1.事務局様 挨拶:開催の主旨・目的
2.「なぜなぜ分析」概要説明
3.ヒューマンエラー防止の概要説明(企業様の業務内容、要望等にあわせて実施)
4.根本原因の特定及び是正処置
上記の1.〜4. 1.5時間
5.「なぜなぜ分析」等の事例紹介
6.「なぜなぜ分析」企業様の「不適合・課題1ケース」について、個人検討
  ・その後、グループワークによる討議とまとめ 1時間50分
     休憩(お昼)
  ・グループ発表 講師コメント        1時間 (グループ数により変動)
7.「なぜなぜ分析」6.企業様の「不適合・課題2〜3ケース」について、繰り返し
  ・個人検討、グループワークによる検討とまとめ 2時間
  ・グループ発表 講師コメント         1時間

 実事例で、検討し、原因、対策の取りまとめをグループワークすることにより身に着けることを主体に行うセミナーです。

セミナーの詳細及び申し込みはこちらから>>>

2017.10.16大企業(2社)の不正に思う。

毎日のように紙面トップを占めている不正(検査記録の改ざん、無資格検査事案)について、JIS Q 9100:2016要求事項との関連で解説します。

(1)検査記録の改ざん
 アルミ、銅製品の性能データ(検査証明書)の改ざん事案は、航空機、自動車、鉄道、その他多くの産業の製品に使用され、採用した企業が自社製品の安全への影響調査に翻弄されています。 航空機業界では、MRJの三菱航空機からBoeing, GE等は、改ざんの影響調査を始めています。

 なぜこのような検査記録の改ざんが、長年続けられてきたかといえば、
“改ざん”を止めると“納期が守れない”→“売上・利益があがらない”だから“続ける”という“罠”にはまり、抜けだせないからです。

 さて、JIS Q 9100:2016には、“改ざん防止”について、直接的な表現では要求されていませんが、
箇条7.3「認識」h)“倫理的行動の重要性”が、まさにこの要求事項に該当します。この箇条7.3 f), g), h)は、日本企業が約10年前に航空機椅子不正事案に関連して、世界のエアラインに大きな損害を与えた事案の改善の一環として、航空日本航空宇宙工業会がIAQGに提案して追加された箇条です。その点からも、今回の事案は非常に残念なことです。


(2) 無資格検査員による最終完成検査
 N自動車メーカーが、「認定された完成検査員以外の者が、完成検査員の印鑑を用いて押印を行っていた」ことが、国土交通省の立ち入り検査(9/18)で発覚し、121万台のリコールに発展しました。

 これは、国土交通相がすべてを完成検査することは不可能なので、企業の検査員を認定検査員に指定し、検査を委譲しているのです。この制度は、民間航空機及び装備品にも同様の制度があり、事業場認定を受けている企業が当てはまります。これ以上は、ここでは採り上げません。

 航空機業界で組織が供給者に“組織が行う検査(発注した製品の受入検査)を委譲し、検査に合格した製品を供給者が、発注者の組織に代わって顧客に納入する場合”があります。その構図は次のとおりです。@組織が製品製造を供給者に発注→A供給者が製品製造・完成検査(同時に、組織は供給者の完成検査員を、組織の認定検査員に指定して、検査を委譲)するケースです。

 このことは、箇条8.4.2注記2・・・
“B外部提供者に検証活動を委譲する場合、組織は、委譲について適用範囲及び要求事項を定め、委譲事項の登録を
  維持しなければならない。”
“C組織は、外部提供者の委譲された検証活動を定期的に監視しなければならない。”と規定されました。

しかし、JIS Q 9100:2009年版での要求では、委譲された検査員によるBの検査が十分なされていないことが判明し、JIS Q 9100:2016で、Cの要求が追加されました。(2)の無資格検査員による最終完成検査の事案は、自社では無関係であると思わずに対処する必要があると思います。

 

参考1:検査記録の改ざんに関する中小企業の動き
  @10月7日(土)ある企業に認証取得支援(社員50人規模)に出かけた際のこと
    ・質問:箇条7.3「認識」h)“倫理的行動の重要性”を品質マニュアルにどのように記載すればよいですか。
    ・回答:コンプライアンス遵守(検査記録の改ざんの防止)と記載すればよいのです。
    この質疑応答は、(1)事案が、報道になる前のことです。

  A10月11日(水)ある鋳造メーカー(社員50人規模)支援に出かけた際のこと
    ・顧客から“K社製造の材料を購入しているか、調査し、回答してください”との電話が多数あり、調査・回答した。

  B10月12日(木)ある商社(事業部員6名)を当社社員が支援に出かけた際のこと
    ・K社の製品を取り扱っているので対応に追われています。

  材料の性能データ検査証明書の改ざんは、日本全体に影響を及ぼしていますね。

参考2:検査権限の委譲・・・SJAC9114A航空宇宙組織におけるダイレクトシップに関する手引き

参考3:無資格検査員による検査
 JIS Q 9100:2016 箇条8.5.2“識別及びトレーサビリティ”の要求事項  “合否表示媒体(例えば、スタンプ、電子署名、パスワード)を使用する場合、組織は、その表示媒体の管理を確立しなければならない。”

 Boeingのサプライヤの監査:「検査スタンプの保管・管理」について
・検査員が検査スタンプを施錠のかかる机(引出)に保管していなければ「不適合」である。
  性悪説に基づいた監査を行う(重要なことです)。

文責 門間
2017.10.06リスクマネジメント・セミナー(ご案内:第2回)工程FMEA

当社【連続コラム】リスマネジメント シリーズ第6回では、設計FMEAを解説していますので今回は工程FMEAについて紹介します。JISQ9100:2016箇条8.1.1運用リスクマネジメントと関連しています。

1.工程FMEAの内容・・・以下のとおりです。
(1) 設計FMEAを製造工程に適用したもの
(2) 設計の意図した機能・性能をもつ製品が量産で問題なくできるように、工程面から検討する手法
(3) 工程設計段階で予想される不適合とその防止策を検討
(4) 工程設計段階で不適合発生防止のために管理すべき特性の決定、あるいは管理の重点を検討

2.工程FMEAの実施手順・・・以下のとおりです。
(1) 工程の流れを確認する(QC工程表を活用する)
(2) 工程の明確化とブロック図を作成する
(3) 工程ごとの不適合モードを列挙する
(4) 重要な不適合モードを選定する
(5) 具体的な改善、対策を実施する

3.リスクアセスメント基準:発生頻度の例 ランクの高いのは悪い
  ・極めて高い・・・1回/(毎日〜1週間) 又は 不適合率 10%以上  ランク5
  ・高い・・・・・・1回/(1週間〜1か月) 又は 不適合率 1%〜10%  ランク4
  ・時として発生・・ 以下 省略

4.リスクアセスメント基準:影響度の例  会社及び製品により異なる。
  ・10%製品が廃却となる・・・・・・・ ランク5
  ・1%~10%未満が廃却となる・・・・・ ランク4 
  ・以下 省略

5.リスクアセスメント基準:受容リスク 例
  ・RPN(Risk Priority Number)=発生頻度ランク×影響度ランク=1~25
  ・受容リスク 例 :RPN=4以下 等

 いろいろと述べましたが、航空宇宙産業での製造ロットが少なく、製造工程数が少ない企業にとっては、簡便法があります。また、自動車産業では、より厳しい要求があります。

 これらの手法について、セミナーにて紹介します。

文責 門間

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2017.09.29ヒューマンエラー防止・セミナー(ご案内:第1回)

 本セミナーの目的は、製品の製造段階で起こるヒューマンエラーの削減、防止のため、品質保証活動に携わる管理者の方々を対象としたセミナーです。

 ISO 9001:2015及びJIS Q 9100:2016にて初めてヒューマン(人間)に起因する不適合の防止について要求されました。箇条8.5.1製造の管理g)“ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。”また、箇条10.2不適合及び是正処置10.2.1b)2)“人的要因(human factors)に関する原因を含む、その原因を明確にする。”の要求事項です。

 ヒューマンエラーあるいはhuman factorsというと“人間のミス”を指すものと思いがちですが、間違いではありませんが、正しいとも言えません。

 ヒューマン・ファクター:人間、組織、設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために
               考慮しなければならない人間側の要因

 航空宇宙産業は、自動車、家電産業のような自動化による大量生産ではなく、少量生産のため自動化が進んでいないことは確かです。特に、航空機、宇宙機器等の組み立て作業に関しては、人間の手による作業が90%以上といっても過言でありません。

 発生した不適合(分析対象の識別)について、@不適合に至った経緯の整理と問題点の識別、A問題点に対する要因の抽出、B対策立案を行います。
上記@Aに関しては、VTA分析、いきさつダイヤグラム、なぜなぜ分析、PSF法、m-SHEL分析、4M-4E手法等があり、不適合の内容によって「適切な分析手法」があります。

本セミナーでは、不適合の事例について各種分析手法を紹介するもので、究極的には出張セミナー実施により、企業様固有の事例を用いてのセミナーを意図しています。

文責 門間

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2017.09.22リスクマネジメント・セミナー(ご案内:第1回)

 本セミナーの目的は、製造段階での製品不適合、製品を顧客に納入後のクレームを低減するために、プロジェクト初期段階(設計・開発段階及び工程設計段階)での品質保証活動を支援するため、これらの業務に携わる管理者の方々を対象としたセミナーです。

 ISO 9001:2015及びJIS Q 9100:2016要求事項は、品質保証活動を不適合発生後の是正処置活動から、予防活動へ展開することを求めた画期的な(あるいは漸く転換した)規格改正です。
したがいまして、このセミナーは、航空・宇宙・防衛産業の企業様のみを対象としたセミナーではありませんし、品質保証部門の方々だけではなく、設計、生産技術部門の管理者の方々をも対象としております。

 ISO 9001:2015要求事項では、序文箇条0.3.3“リスクに基づく考え方”から箇条4.4.1f)〜箇条10.2.1に至る多くの箇条で、“リスク及び機会の取組み”について要求しています。
一方、JIS Q 9100:2016では、ISO 9001に加えて、箇条8.1.1運用リスクマネジメント、8.2.2d)では、運用リスク(例えば、新技術、製造能力及び生産能力、短納期)、8.4.1では、“外部提供に関連するリスクを特定し、マネジメントしなければならない”等、随所にリスクに関する事項があります。

 本セミナーでは、“リスクに基づく考え方”は、もちろん、各要求事項の関連と対応について、重点指向*1での対応を推奨するセミナープログラムを組んでいます。

 本セミナーは、究極的には、企業様個別プロジェクト(案件)での出張セミナー実施への参考となるセミナーを意図しております。

  参考*1:QMSは、顧客満足を目指しますが、その中の「シスクベースの考え」は、品質管理、信頼性活動の
         共通の原則の一つである重点指向の活動です。

文責 門間

 この続き:10月6日は、「運用リスクマネジメント」について、紹介します。
 次  回:9月29日は、ヒューマンエラー防止セミナー(ご案内:第1回)を掲載します。

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2017.08.10JIS Q 9100:2016 「8.1.4 模倣品の防止」について

 JIS Q 9100:2016で追加となった「模倣品の防止」について、ご紹介します。

 「模倣品」とは、“正規製造業者又は承認された製造業者の純正品として、故意に偽られた無許可の複製品、偽物、代用品、改造部品(材料、部品、コンポーネント)”とJIS Q 9000で定義されています。

「模倣品」は、未認証部品(Unapproved Parts)で、要求された品質保証や検査・試験を実施しないまま出荷されるため、「8.1.3 製品安全」に直結することとなり、それぞれの段階(設計検討、購買要求、受入検証、製造、不適合品管理)で防止のためのプロセスの設定を要求しています。

また、「旧式化」、「枯渇品」も「模倣品」として含めて対応を求めていますので、設計・開発を行う企業様においては、設計段階でどのように対処していくかを予め検討しておく必要があります。特に、電子部品においては必須項目となります。

IAQG(International Aerospace Quality Group)では、SCMH 3.5章「模倣品防止」で、組織の理解に役立てることを目的に内容を紹介していますし、
FAAにおいては「模倣品」を“権限や権利なく「認定部品」を模倣、似せるために製造、改造された部品”として「疑義品」を含め、SUP(Suspected Unapproved Parts)Programを設定してその検証や報告を要求しています。

少し逸れますが、PMA(Parts Manufacturer Approval)品は、FAAが承認した認定部品であり「模倣品」ではありませんが、OEM(Original Equipment Manufacturer)やTCH(Type Certificate Holder)が製造した部品ではないため、整備等でPMA品を使用する(組込む)場合は、ユーザーの判断によることになります。

引用:  IAQG SCMH (Supply Chain Management Handbook) Section 3.5 Counterfeit Parts Prevention Guidance

文責 古郡
2017.08.04JIS Q 9100:2016 "7.1.6 組織の知識について"

JIS Q 9100:2016の移行審査対応支援等において,多くの企業様が規格の要求事項で、その理解にお困りになっている事項についてご紹介します。
 今回は,ISO9001:2015の要求事項として追加になりました,「組織の知識」について記載します。

 規格では次に示す通りに要求されています。

7.1.6 組織の知識
 組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。
 この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。
 変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。


 先ず,知識を理解する上でのポイントは,7.5文書化した情報で要求される文書と7.1.6 組織の知識の違いです。
文書は,個別の製品実現に必要な図面,作業指示書,作業手順書,検査手順書等です。一方,知識はこれらの文書を作成するのに必要な標準,要領書(マニュアル)等のノウハウです。この知識は,例えば新入社員等の教育に活用できるような資料と考えていただければ分かり易いです。

 次に大切なのは,現在ある知識を組織内で共有化し,如何に社内で活用できる状態にするかです。
そのためには,現在ある知識を明確化することですが,知識の対象基準をあまりにも厳格に考え過ぎると抽出されません。何でもよいから,先ずは知識と思われる資料をリストアップすることです。

その後に知識の対象とするか否かを検討されれば良いです。そして,抽出された知識は保管担当者等を含め明確にした一覧表等を作成することにより,必要時に誰でもアクセスすることが可能になります。

また,知識を活用した際に,不適切な箇所が発見された場合は修正し,情報が不足している場合は追加更新し,知識のブラッシュアップを図ることが大切です。

 知識の最大のポイントは,先ずは知識と思われる資料を明確化することから始まることを意識して取り組まれることを推奨します。

文責 松田
2017.03.10先行生産品質計画(APQP)と製造部品承認プロセス(PPAP)に関する要求事項

 IAQGで作成された9145規格制定版に基づき、JAQGではSJAC9145規格(航空宇宙 先行生産品質計画及び製造部品承認プロセスに関する要求事項)の制定原案(Draft)が作成され、パブリックコメントを募集中です。

 この要求事項は、JIS Q 9100:2016規格 箇条8.4.2「管理の方式及び程度」の一部として初めて要求されたものです。具体的には、下記の事項です。

注記2 検証活動には、次の事項を含み得る。
    − ・・・
    − 製造部品承認プロセスデータのレビュー
    − ・・・

 自動車業界の米国BIG3は、APQPについついて、ISO/16949:2009箇条7.1「製品実現の計画」の注記で要求されています。また、PPAP については、箇条7.3.6.3「製品承認プロセス」として、米国BIG3では、PPAPが義務的要求事項となっています。

 一方、航空エンジン業界のロールスロイス(RR)及びプラット・ホイットニー(P&WA)は、「サプライヤーQMS要求事項」でAPQP, PPAP, FMEA, SPC, MSA等を要求しております。
顧客が航空エンジン企業である場合、品質管理仕様書を精読して、対処することが大切です。
 SPC:統計的工程管理  MSA:測定システム分析

文責 門間
2017.03.03JISQ9100:2016解説書及びセミナーへのご質問と回答の事例

ご質問1:JIS Q 9100:2016箇条6.1の要求事項は、『契約に対するリスク』が一番の課題ではないか。
     ⇒審査において、この課題に取組まれていない場合、若しくは、不足と感じられた際、不適合として扱われ、
      是正要求されるのではないかについて疑問がわきました。

回 答:結論から言えば、
(1)箇条6.1は、“品質マネジメントシステム(QMS)の計画を策定するとき(箇条6.1.1)”、及び“QMSの
    変更を必要としたとき(箇条6.3)”の要求事項です。
(2)ご質問の『契約に対するリスク』等は、「運用リスク」あるいは「製品要求事項に関するリスク」に相当することで
    あり、箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」で処理するのが適切です。


参考:(1)の根拠
箇条6.1.1で“決定したリスク及び機会”に対する取組みの計画については、6.1.2 b)取組みの方法、1)“その取組みのQMSプロセスへの統合及び実施(4.4参照)”として要求しています。
また、箇条6.3においても、4.4参照としています。箇条4.4のタイトルは、“QMS及びプロセス”です。

4.4参照の意味:“決定したリスク及び機会”への取組みの方法は、QMSの箇条5〜箇条8の中の該当する箇条でやってもよいことを示しています。“決定したリスク及び機会”の該当する箇条です(箇条4.4 f)参照)。回りくどいですね。

参考:(2)の根拠
航空宇宙防衛特有の要求事項である、箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」注記1(下記)で、明確に述べています。
 注記1:6.1では、組織のQMSの計画を策定する場合のリスク及び機会に取り組むが、この箇条(8.1.1)は、製品及びサービスの提供に必要な運用プロセス(箇条8)に関連するリスクに限定し、適用する。

    

参考:(3)箇条8.1及び8.1.1について
箇条8.1及び8.1.1は、どのような条項かといえば、8.1.1〜8.7までの要求事項の一般的概要を述べているだけです。具体的な要求事項は8.1.1〜8.7の中で要求しているのです。
  例:・8.1.1運用リスクマネジメント・・・・設計に対する要求
     ・8.1.3製品安全・・・ハザードの評価(8.1.1参照)・・・設計に対する要求
     ・8.2.2 d)運用リスク(新技術、製造能力及び生産能力、短納期)設計・製造への要求
     ・8.4.1一般 組織は、外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品及びサービスの外部提供に
      関するリスクを特定し、マネジメントしなければならない。

      ・・・購買部門への要求
     ・8.4.2管理の方式及び程度・・・組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実に・・・
        これは、リスクに基づく考え方での活動を要求している。
        c)1)にも同様な記述があります。
        8.4.2においては、随所に“特定されたリスク” “模倣品のリスク” “不適合のリスク” “材料を重大な
        運用リスク”等々が出てきます。
     ・8.5.1.3製造工程の検証・・・省略

再確認:
6.1は、あくまでも“QMSを計画するとき”及び“QMSの変更を必要としたとき”の「リスク及び機会」への取組みです。
その後の運用段階(製品実現:契約、設計、購買、製造、検査等)のリスクは、箇条8で取扱うのです。これは、航空宇宙防衛産業でのセクター規格としての取り扱いです。



ご質問2:セミナーの問題でのモデル解答に対する質問とそれへの回答です。
    顧客であるA社からH27年度に顧客で発見した納入後不適合20件をH28年度は半減するように要求が
    あった。又、社長の品質方針でも納入後不適合の削減が指示された。

    品質管理部は、A社向けの納入後の不適合件数を、H28年度としては先ず14件以下(30%削減以上)の
    品質目標を設定し、毎年段階的に削減するように実行計画書を作成したことが、内部監査で判明した。

    内部監査員は、品質目標が顧客の要求を満足していないので、H28年度の納入後不適合件数を10件
    以下にするように、品質管理部門の合意の上、「改善要請」とした。

モデル解答:内部監査としての判断は、「改善要請」でよい。

モデル解答に対する質問:「改善」とは、“再発防止”でないので、おかしいのではないかというものです。

規格でいう改善:
箇条10.改善 10.1「一般」の注記で次のように解説しています。
“改善には、例えば、修正、是正処置、継続的改善、現状を打破する変更、革新及び組織再編が含まれる。”

参考:
“改善”、“継続的改善”の意味は、JIS Q 9000:2015「QMS−基本及び用語」の中で明示されています。しかし、“再発防止”の定義はありません。
“再発防止”は、“不適合の根本原因を究明し、対策することにより問題を再発させない こと”です。“是正処置”そのものであり、“改善”の一部なのです。

以上
文責 門間
2017.02.10JISQ9100:2016工程設計は、8.3「製品の設計・開発」で対応するのか

本件については、1月6日のメルマガで、私の考え方を説明しました。さらに、少し調べてみましたので、参考に記載しました。

1月6日メールマガジン>>>>

Rolls-Royceのサプライヤへのマネジメントシステム要求事項であるSABRe(Supplier Management System Requirements)のChapter Bによれば、次のような条項があります。

  • B2 Product design and development:製品の設計・開発
  • B3 Production design and development:製造の設計・開発 → 工程設計


AS 9100DとJIS Q 9100:2016では、

  • 8.3 Design and Development of Product and Services
  • 8.3製品及びサービスの設計・開発

 その他に次のような適切な説明を、ある方から教授いただきました。

 「設計・開発は、製品の技術的要求事項をアウトプットするものであり、その技術的要求事項を製造の手順に展開するのがプランニング(いわゆる工程設計)であり、プランニングからは、技術的要求事項は生まれない。」
 非常に分かり易い説明でした。


 ISO 9001:2015の工程設計が、箇条8.3に該当するといっているのは、一般論であって、航空宇宙防衛産業界のセクター規格のAS/EN/JIS Q 9100:2016では、“プランニング(工程設計)は、箇条8.3に該当しない”と理解するのが適切と思います。

文責 門間
2017.02.03「JIS Q 9100:2016規格解説セミナー」に対する参加者皆様のアンケート結果

 頭書のセミナーを、1月に東京、神戸、愛知(春日井)において、70名の受講者様の参加を得て開催しました。
受講者の代表的なご意見、ご感想を掲載いたします。自由記述方式でのアンケート結果です。


  • テキストが、要点を簡明化(図表と併用)されており、非常にわかりやすかった。

  • 極力、事例を紹介しながら、かつポイントを強調していただけたためよく理解できた。 テキストも分かりやすく解読書(解説書)とのつながりも記されており、親切だと思いました。

  • タイトルがない箇条について( )内タイトル(TFMで仮のタイトルを付けたこと)は、品質マニュアルを作成に当たり参考となる。

  • 現在JISQ9100を取得していないが、テキスト、講義ともにわかりやすかった。一方で、航空宇宙産業向け規格であるため、形の有る部品に対する規格になっていると思われ、材料メーカーとしては、どう対応するかと思われる部分も少しありました。

  • 今回受講して感じたことは、捉え方によっては、様々な解釈の仕方があると実感しました(JISQ9100とISO9001では視点が変わる等)。講師の方の説明も分かり易く、自社のQMSと照合してみると不足している点や、規格通りに運用できている点を再認識できて納得できました。

  • 説明が明確で分かり易かった。テキストの内容も充実しており、研修後の復習にも役立つ内容だと思います。時間を延長されて、もう少し詳しくご説明されてもよかったのではと思いました。

  • 当社で作成したJIS Q 9100:2016解釈書と比べながら聴講しました。解釈がずれている所、解釈ができなかった所がよく理解できました。当社の他の内部監査員にも受講を勧めたいと思います。

  • 審査を何回も受けていると審査員が異なると指摘内容もまちまちとなっており、何が正解かが分からなくなってきております。今回NCプログラムについて質問させていただきましたが、このような場でデスカッションさせて頂くと第三者的意見をもらうことができて非常に助かります。  指摘事項で困っているメーカーはもっといると思うので意見交換できる場がもっと増えるといいと感じました。

次回は、「JIS Q 9100:2016移行審査対応セミナー」に対するアンケート結果を掲載します。

以上

2017.01.16「リスク及び機会への取組み」について

JIS Q 9100移行審査対応セミナーでの質問と回答です

質問:規格6.1で「リスク及び機会への取組み」は、事業部門ごとに行う必要があるのでしょうか。
     当社は、事業部門が多いので、組織の外部・内部の課題を抽出して、「リスク及び機会への取組み」を決める
     必要があり、大変です。

回答:もともと、事業部門とは、一般には製品群(種類)が異なり、その事業ごとに外部の市場環境、顧客の
     ニーズの期待も異なります。そして、それに関して内部の課題も異なってきます。
     当然、事業部ごとに実施する必要がありますね。

質問:なかなか多くの事業部門を動かすのは、大変なのです。何か良い方法はないでしょうか。

回答:規格5.1リーダーシップ及びコミットメント 5.1.1一般 “e) 組織の事業プロセスへのQMS要求事項の
     統合を確実にする”とあります。事業プロセスとは、事業を展開する活動ということですが、QMSの活動が
     事業活動と整合させて確実に運用するということです。
追加回答:このような場合、複数の事業部門を取りまとめている経営者(トップマネジメント、あるいは社長)の
     指示を仰ぐことです。QMS事務局の苦労がわかります。

文責 門間
2017.01.16外部から提供されるプロセスを組織のQMSの管理下にとどめるとは!

JIS Q 9100規格解説セミナーでの質問です 

質問:規格8.4.2の購買に関連する“管理の方式及び程度”、“a) 外部から提供されるプロセスを組織のQMSの
     管理下にとどめる”とは、どのような意味ですか。

回答回答:プロセスとは、設計、製造、検査などの活動であり、それを外部委託したとしても、御社のQMSに含めて
     外部委託先を管理する必要があるということです。ただし、御社の組織の一部としてマネジメント(指示)
     してはならないということです。

質問:なかなかわかりません。

回答:委託した設計、製造、検査プロセス(活動)が適切か否か(生産、品質等)は、最終的に発注元に
     あるわけですので、常に委託先の実施状況を監視し、必要な支援等を行っていくことです。ただし、委託先の
     命令系統に入って活動するということではありません。御社と委託先と間で契約の一部である
     「品質管理仕様書」、「協力先取引仕様書」等を交換して推進する必要があります。

参考:JIS Q 9000(基本及び用語)の“外部委託する”の定義の注記1に“外部委託した機能又はプロセス
     はマネジメントシステムの適用範囲内であるが、外部の組織はマネジメントシステムの適用範囲外にある”が
     その意味です。簡便に言えば、命令系統にあるのではないということです。

文責 門間
2017.01.6JIS Q 9100:2016移行審査対応セミナーでのご質問について

質問:「工程設計」を「製品の開発・設計」として対応すべきか否か

 新年あけましておめでとうございます。皆様にとりまして良き新年を迎えられたことと存じます。
旧年にも増してご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。


 さて,昨年12月19,20,21日に東京,愛知,神戸にて開催しました頭書のセミナーに,多数のJIS Q 9100品質マネジメントシステムに携わる管理責任者,事務局の方々のご参加を得て,盛況に実施することができました。誠にありがとうございました。

東京,愛知,神戸におけるセミナーにて,共通したご質問がありましたので紹介とともにTFMとしての見解を述べます。
共通の質問は,“従来,「工程設計」として取り組んでいた事項を,2016年版では,箇条8.3「製品及びサービスの設計・開発」として対応しなければならないのか”との質問です。

 この質問が発せられた背景には,ISO 9000:2015定義3.4.8「設計・開発」に,“対象に対する要求事項を,その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス”とされたことに影響されたと思われます。
また,認証機関の間でも工程設計を“設計・開発”として審査するという機関もあり,それに対する質問と推察されます。
【蛇足ですが,JAQG主催の2016年版の説明会(2016年10月19日東京)における質疑応答で,審査機関の間でも解釈に差が浮き彫りになりました】。

 私は,航空宇宙防衛産業での解釈は,工程設計は,“製品の設計・開発には当たらない”と即座に回答しました。
もし,工程設計が,“設計・開発”であるならば,詳細設計のアウトプットである製造図面に基づく,作業手順書,作業指示書,検査手順書,QC工程表,治具設計・製造あるいは工作図面(生産工程毎に加工する範囲を指示した図面)の作成・準備作業は,“すべて設計・開発”と捉えることになります。
航空宇宙防衛産業では,このような工程設計が規格8.3の「製品及びサービスの設計・開発」に該当すると解釈も,想定もしていないと思います。

規格8.3のAS/EN/JIS Q 9100特有の追加要求事項を作業手順書,作業指示書,検査手順書,QC工程表,治具設計・製造あるいは工作図面等の中で単独にどのように処理するのか,するとしたら過大要求になります。
これらの工程設計プロセスは,主として箇条8.1,8.5,8.6の中でやればよいのです。
誤解しないで欲しいのですが,工程設計を行うのは,“設計・開発段階”から行うことは当然であるが,“製品の設計・開発”として行うのではないということです。大分くどい話になりました。

 一方,“治具を製品として顧客へ納入する場合ではどうか”という質問もありました。私の答えは,前者と同様で“製品の設計・開発には当たらない”との回答です。
もし,この場合は,“製品の設計・開発”に当たるならば,航空宇宙防衛のプライム自身が,設計・製造する治具へのQMS要求と供給者が製造する治具へのQMS要求事項に差があることになり,また,供給者に過大な要求事項となります。

 しかし,治具専門の組織にとって,顧客の製造図面をもとに治具の設計・製造を実施するのが対象範囲であれば,「設計・開発」があっても差支えがありません。ただし,この対象範囲を,JIS Q 9100の要求事項に対応して実施するか,ISO 9001ベースでやるかは,いずれも組織の判断です。

 そこで,「品質マネジメントシステム規格国内委員会 監修」の「ISO 9001:2015新旧規格の解説」(中條武志・須田晋介 著)を確認しました。

P193〜195(3.1)“8.3全体と8.3.1設立の背景”の中で,“2015年度版の設計・開発に関わる要求事項を規定した8.3は,箇条の構成を含め,その様相は大きく変わった。・・・最終的には,設計・開発は残り,8.3の要求事項も全体として2008年版より若干軽くなった程度で,ほぼ同等の内容となった”としている。・・・また,2015年度版の設計・開発に関わる要求事項は,“ISO 9000:2006の設計・開発の定義から意味や意図するところは変わっていないが,文面は変更されている)”と解説しています。

 さらに,箇条8.3の「製品の設計・開発」について,具体例で解説しています。
 住宅メーカの例:前略・・・,資格をもつ建築士が,法規制を遵守した詳細な図面を描くことで,家を建てるためにどのような資材が必要で,どのくらいの期間がどのくらいの工数でかかるのかなどが決まり,はじめて家を建てるという作業に取り掛かることができる”。(門間見解:この場合,詳細図面を描くことが設計・開発作業です)。

 医療機関の例:前略・・・“医療サービスは,・・・手術を伴う医療サービスを提供する場合,適用可能な技術,資源の活用などを踏まえて,適切な診療計画を立てることになる。この行為がこの箇条でいう設計・開発である。”
(門間見解:診療計画書が設計・開発です。手術することはサービスであり,製造業でいう製品です。わかりやすいですね)。

 また,“以下は,2008年版発行時に出版された本書の旧版(p181)からの引用ということである”として,次のように解説している。
“設計・開発の対象はである“製品及びサービス”について理解する上で参考になるため,以下掲載する,“何が設計か”は,何が製品かによって変わる。
例えば,サプライチェーン上流組織である親企業が市場に提供する最終製品を設計する場合は,当然なことながら設計とはその最終製品の設計である。
親企業からの最終製品の設計図が供給され,その製品のユニットのアセンブル(組立て)を専業とする組織の場合,設計とは,提供する“部組み品”(サブユイット)の組立て方の設計である)としています。
(この場合,航空宇宙防衛産業でいう工程設計です)。

 このように,産業界によって“設計・開発”に対するいろいろな解釈の違いがあるということです。そのことは,特殊工程についてもいえることです。
2009年版7.5.2「製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」については,航空宇宙防衛産業では,この箇条を特殊工程と捉えてきました。特殊工程がなければ,適用除外としてきました。
一方,自動者業界のTS16949では,特殊工程に限定せず,適用除外はできなかったのです。

 さらに,興味深い事項があります。ISO 9000:2015定義3.4.8「設計・開発」に,“対象に対する要求事項を,その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス”の後に,

注記1では,“設計・開発へのインプットとなる要求事項は,調査・研究の結果であることが多く,また,設計開発からのアウトプットとなる要求事項よりも広範囲で,一般的な意味で表現されることがある。要求事項は,通常,特性を用いて定義される。プロジェクトには,複数の設計・開発段階が存在する”。

文責 門間
2016.02.19利害関係者のニーズ及び期待の理解 ISO9001:2015改正の要点

 ビジネスにおいては、利害関係者のニーズ及び期待を理解して業務を実行することは、何よりも重要なことです。
では、利害関係者とは具体的に誰を指すのか明確にしてそのニーズと期待に応えなければなりません。

 規格4.2では、“顧客要求事項及び提供される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織は、次のことを明確にしなければならないと規定しています。

a)品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
b)品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項


 利害関係者とは、英語のStakeholdersを訳したこととされていますが、規格では利害関係者とは、interested partiesの訳です。同意義語と理解して掲載します。

 ISO用語辞典によれば、利害関係者とは,“組織の環境パフォーマンスに関心をもつか又はその影響を受ける個人、団体、投資家・金融機関・取引先・消費者・地域住民などがこれにあたる。”とされています。
組織との関連図を画いてみると下記のようになります。 黄色で影をつけた組織等は、QMSに密接に関連する利害関係者です。

組織を取り巻く利害関係者

 規格では、“品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者”とありますので、航空宇宙業界でいえば、顧客である製造メーカ、組織に材料、部品、装備品等を供給するサプライヤ(供給者)が主なところですが、従事者、航空業界を監督・支援する行政機関経済産業省、国土交通省(航空局)も該当します。

 利害関係者からの要求内容は、それぞれの立場で異なってきます。
顧客である消費者、使用者からは、ニーズと期待を含めた要求事項が、製品仕様書、注文書(納期、価格等)として、供給者からは価格、技術指導等の要請が、従事者からは待遇改善、行政機関からは法・規制に基づく経営の順法性を、地域社会からは雇用の増大から環境(交通を含む)への改善等、また株主、債権者からは、財務、配当等の経営そのものへの要求であります。

 航空宇宙業界の品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者といえば、顧客(製造メーカー)、供給者、従事者及び行政機関です。
利害関係者から組織への要求事項は、主に製品及びサービスに対する要求事項であり、図表4.2-2になります。


図表4.2-2利害関係者からの要求事項

利害関係者 組織への要求事項 具体的要求文書
使用者
(エアラインから製造メーカーへの要求)
 ・快適さ  ・燃費  ・対環境性  
 ・保守   ・メンテナンス性
 ・納期   ・価格
参考:プライムメーカは市場のニーズと
    期待を具現化して使用者
    (エアライン)に提案
製造メーカ
(プライムメーカーを含む)
 ・品質  ・価格  ・納期
 ・JISQ9100,Nadcap認証
 ・コンプライアンス  ・機密保持
 ・契約書/注文書 
 ・製品仕様書/図面/スペック
 ・品質マネジメント仕様書等
供給者  ・製造性、検査性の改善提案
 ・価格  ・納期
 ・設計  ・工程変更提案書
従事者  ・製造性、検査性の改善提案  ・設計  ・工程変更提案書
行政機関  ・順法(安全性を含む)  ・航空法  ・航空機製造事業法
 ・電波法 等

 利害関係者からの要求事項に関する情報の監視、レビューに関しては、品質、納期、価格等を主要なこととして、自分の立場ではなく利害関係者の立場、受けとめ方に基づいて対応し、耳を傾けることにつきます。

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