品質保証に関する活動の戦略は,本コラム2回目で,次の3点であることを述べました。

①上流工程(設計部門,製造部門)で困っている事項を積極的に対応
②理論武装
③品質管理手法の活用

これらへの取組みについて解説します。

①上流工程で困っている事項の品質保証部の役割は,形態管理,リスク管理については,設計部門,製造部門,品質保証部門と連携して実施する業務の事務局としての活動です。

  • 767,MU300形態管理では,ADC*=APC*=ABC*の電子データでの取りまとめ事務局
    *ADC:As Designed Configuration, APC:As Planned Conf, ABC:As built Conf
  • CCV研究機の開発・研究におけるリスク管理での事務局

事務局といえば,会議招集,議事録作成,処置事項及び不適合事項の是正処置のフォローと雑用係のようですが,それが大切なのです。最終的には,例えば,プロジェクトが成功し,「リスク管理規定」を制定してシステム化し,次のプロジェクトにつなげることができます。

  • 納入ソフトウェア品質保証における役割は,ゼロからの業務でしたので,ソフトウェアの検査・試験→ウォークスルー→プログラム仕様とプログラム設計との比較評価等のソフトウェア開発上流工程(ソフトウェア設計課)を監視する業務に展開し,これも管理規定を制定し,システム化していきました(実務段階では,私は携わらずに,別の組織に異動しましたが)。

これらの活動でいえるのは,品質保証活動においては,全体最適であることが大切で,検査・試験での不適合が出なくて,顧客での運用段階でクレームが出るようであれば,部分最適になってしまいます(世の中のクレームは,設計品質の不適合が90%以上で,製造品質に起因するクレームは,10%以下なのです。設計品質確保が重要であることが理解できます)。

②理論武装は,米軍の品質保証に関するMILスペックの理解からスタートしました。MILスペックは,米国航空機産業においては,顧客の要求事項になります。それを熟読するのは当然です。日本での戦闘機等のライセンス生産においては,これらのスペックのスタディは必須事項でした。

米軍品質保証関連のスペックとして,MIL Q 5923C→MIL Q 9858Aのスタディ。これらは,防衛庁C&LPS XXXXXに展開され,近年DSP Z 9001,9002,9003を経て,DSP Z 9008に衣替えしています。

1970年頃より民間機,航空エンジン等の下請負生産が開始することに伴い,顧客であるBoeing,GE-A, Rolls-Royceの品質に関する要求事項である仕様書のスタディです。Boeingの D6-82479, GE-AのS-1000, Rolls-RoyceのSABReなどです。その際には,欧米航空機産業のQMSに関連する慣習を理解されると最高です。

形態管理に関する理論武装:MIL-STD-480 → MIL-STD-973 → ISO 10007の理解です。

リスクマネジメントに関する理論武装:信頼性プログラム MIL-STD-785,現在は,ISO 31000 「リスクマネジメント-原則及び指針」の理解

ソフトウェア品質保証に関する理論武装:MIL S 52779 → DOD STD 2168 の理解
(これらのスペックは,年々更新されています)

顧客それも米国の航空機産業の最先端の品質管理関連スペックを理解することは,航空機産業では理論武装になり,設計技術者とプロジェクトマネジメントでの議論に十二分通用します。

③品質管理(統計手法)の活用
田口玄一先生の「実験計画」から入り,確率,有意差検定のスタディは有意義でした。
QC7つ道具は,製造・検査現場での不適合データのまとめ,分析・評価等に大いに役立ちます。
品質管理的な考え方(顧客指向,源流管理,事実に基づく管理等)は,品質改善等に有効です。
経営品質のスタディは,コンサルタントにとって必要不可欠事項であり,対象は,経営者です。

どれをスタディするかは,品質保証業務に携わる方々によって異なります。私は,企業(三菱重工 航空宇宙防衛関係)で品質管理,品質保証業務を30年,その後,航空宇宙産業でQMS関連業務に特化したコンサルタント業で20年です。

本メルマガが品質保証業務に携わる皆さんに少しでもお役にたてれば幸いです。