Boeing767旅客機及び三菱MU-300ビジネスジェット機の製造過程で,機体号機毎の形態管理(Configuration Control)が,顧客及びFAAから求められました。1980年頃です。これは,号機毎に搭載されている部品,組立品,装備品等の「形態」が,設計のアウトプットである図面(変更も含む)要求が,製品に確実に反映されていることを証明するよう求められたのです。

膨大な図面は,購買文書,製造文書に展開され,製造,検査されて製品となります。ポイントは,「設計変更」が確実に製品(航空機)に反映されていることを,顧客及びFAAに証明しなさいということです。形態管理は,航空機の運行者側からの運用・整備のために必要不可欠な要求事項です。

これは,下記を証明することを意味し,各部門がADC,APC,ABCの各データを入力し,電算化システムを駆使して比較して,アンマッチ等をなくすことが求められました。

この形態管理(設計変更管理が主要事項)なので,主体は設計部門です。しかし,開発・量産初期段階の設計部門は非常に繁忙なので,品質管理部が事務局になることを提案し,まとめることになりました。
上流部門の設計データを購買部門,製造部門にて製品に展開し,品質管理部が適合を確認する「形態管理プロセス」は,電算機システム部門を巻き込んでのシステム化ができました。

 

JIS Q 9100:2000が制定され,「形態管理」も要求事項とされていました。
日本航空宇宙工業会からの要請で,航空宇宙システム審査員の養成の講師として携わった際に,上記プロジェクトでの経験が多いに役立ちました。また,弊社発刊している「JISQ9100:2016航空・宇宙・防衛品質マネジメントシステムの解説」書籍は,その時の遺産です。

参考:航空宇宙製品で形態管理が大々的に体系化されたのは,人工衛星において米国がソ連に先を越された
    ときに,短期開発時には,ハード,ソフトの開発・生産を同時並行的に実施しなければならず,システム
    間の物理的(ハード),機能的(ソフト)なインタフェースの確保は最重要事項の一つであり,
    開発・生産において設計変更のない開発などあり得ません。
    これには初期の製品の形態要求(形態識別),を明確にし,その後,開発生産における設計変更,
    製造変更管理(形態コントロール)を行い,完成した組立品,部品の状態を記録(形態状況報告)
    していく一連の活動です。形態識別,形態コントロール,形態状況報告はいずれも文書化が必要です。

形態管理の要求事項は,MIL-STD-480(Configuration Control)1960年代に制定されていました。
その後,MIL-STD-973(Configuration Management 1992)に変更されています。
その後、ISO 10007:2017 -Quality management-Guideline for configuration managementが制定・改訂されています。