昨年10月以降日本製造業界において発覚した「検査データ改ざん」事案について,品質保証業務に携わる管理者,スタッフの皆さんは,どのような思いで見守っているのでしょうか。私は三菱重工で航空宇宙プロジェクトでの品質保証業務に30年,その後の品質コンサルティングで20年,計50年を過ごしてきました。多くのメディアは,品質保証部門に携わる人々に対して厳しい目をしているようです(そうでもない方もおりますが)。

「検査データ改ざん」が正当化されること,また許されることはありませんが,「検査データ改ざん」に直接かかわった人々だけが悪いとして対処してはならないことを強調したいのです。その背景です。
私は,航空宇宙産業JISQ9100:2016箇条7.3 h) “倫理的行動の重要性”の解説で,“コンプライアンス(検査データ改ざん防止)”と説明しています。

そして,関係者(経営者,管理者)が,“何とかセイ!”と3回と言ったらば,暗黙のうちに「検査データを改ざんセイ」といっていると理解するしかないのです。その時は,まずは多くの関係者と現状をOPEN化し、討議することです。
自分ひとり又は品質保証門だけで決して判断しないことです(これで問題が解決するとはわかりませんが)。
管理者,経営者とコミュニケーションするしかありませんね。また別な機会に述べます。

さて,日本経済新聞2017年10月25日に,“不正の目摘む「失敗の科学」”のタイトルで,日本経済新聞 本社コメンテーター 山中 淳史氏が,航空機事故の原因調査と対策について言及しています。

一部引用“世界で最も過酷で失敗が許されない職場の一つ,とされる航空機のコックピットだ。過去には痛ましい事故が多数あった。だが,同書「失敗の科学」(マシュー・サイド著)によれば,世界の民間旅客機による死亡事故発生確率は,現在,830万フライトに1回に低下している。失敗学に学んだ結果だそうだ。”

参考:ANA 1971年~死亡事故 0    JAL 1985年~死亡事故 0

不祥事の原因:以下も日本経済新聞2017年10月25日の一部を掲載

  1. 「最悪の事態を起こさない挽回の機会」が用意されていない。
  2. 「不正した部署は『無理な目標だ』と上層部に訴えたことが何度かあった。だが,相手にされずに, ある時点で何も主張しなくなる。「(同部署は)周囲の無理解を利用して外から見えない壁をつくり始め,不正の手法をブラックボックス化していく」
  3. 「経営陣,管理職は下に向かって『何とかしろ』と命令を下すが,何ともならないとわかっている部下たちは
    袋小路に嵌り,不正行為を考え始める。不正が起きても周囲は目をつぶり,何も言わないことがその組織
    にとっての『合理性』になっていく」

次回:設計要求と製造技術の乖離について