箇条8.1.1「運用リスクマネジメント」では、“リスクアセスメント基準(例えば、発生確率、影響の程度、リスクの受容)の決定”といった、技術的、管理的な面からの基準を定めて、適用される要求事項の達成に向けた運用リスクを管理することを求めています。

しかし、現実的にリスクアセスメント基準の例である「発生確率」、「影響の程度」をどのように定めてよいかわからないというのが現実と思います。

大量生産している自動車、電子機器、あるいは航空エンジン機器等においては、過去の故障、不適合の発生に関するデータを基に、設計FMEA(DFMEA)、工程FMEA(PFMEA)を行うことができます。

しかし、例えば、新規に航空宇宙産業に参入する(参入した)機械加工メーカにとって、リスクの発生確率、影響の程度をどのように定めてよいかわからないのが実情です。

運用リスクについては、下記の箇条で要求されています。すべて、航空・宇宙・防衛産業向けの要求事項です。

箇条8.2.2「製品に関する要求事項の明確化」d)“運用リスク(例えば、新技術、製造能力及び生産能力、短納期)が特定されている。”

箇条8.4.1“組織は、外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品及びサービスの外部提供に関するリスクを特定し、マネジメントしなければならない。”

箇条8.4.2「管理の方式及び程度」では、・・・“外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの検証活動は、組織によって特定されたリスクに従って実施しなければならない。模倣品のリスクを含め、不適合のリスクが高いとき、該当する場合には、必ず、検査又は定期的な試験を含まなければならない。”

箇条8.4.2の最終段落では、“顧客又は組織が、材料を重大な運用リスク(例えば、クリティカルアイテム)と特定した場合、組織は、試験報告書の正確さの妥当性確認を行うためのプロセスを実施しなければならない。”

随所に運用リスクへの対処について要求されています。前述したリスクアセスメント基準の例である「発生確率」、「影響の程度」を定めて実施することに違和感がありますし、現実的ではありません。

次回は、どのように対処すればよいかを解説します。