規格JIS Q 9100:2009 7.5.2項「製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」の要求事項を確認することから始めましょう。下記は、7.5.2項の記述です。なお、ここではサービス提供の用語は省略して記述します。

“製造の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証が不可能で、その結果、製品が使用された後でしか不具合が顕在化しない場合には、組織は、その製造の該当するプロセスの妥当性を確認しなければならない。
注記 このようなプロセスはしばしば、特殊工程と呼ばれる。”

斜体で太字部は、航空・宇宙・防衛産業分野の組織に適用される要求事項ですので、7.5.2項の要求は、JIS Q 9100では、熱処理、化学処理、複合材成形、溶接、非破壊検査等に適用される条項であることは明確です。

事例で説明しましょう。
熱処理を行った製品の品質、例えば引張強度、疲労強度、靱性等は、外観検査、寸法検査では、確認できません。
何も確認しなければ、使用直後に破壊して初めて熱処理が悪かったから破壊に至ったということになりかねません。それでは過酷な環境状態で長期間、航空機等を運用することはできません。

熱処理後の硬度検査で一部の特性を引張強度の代用特性としては使用できますが、疲労強度、靱性等を確認しようとすれば、製品から試験片を切り出すか、同じ材料の試験片を同時に処理し、それらの試験片について、破壊試験を行なって品質を確認しなければなりません。経済的、日程的に大きな負担となります。

この対策のためには、熱処理炉内の均一な温度分布を確保できる設備、温度スケジュール(昇温、保温時間、降温)等の工程管理パラメータの設定と実施により品質を確保しています。当たり前のことですね。

化学処理、メッキについて言えば、密着性、耐食性、耐摩耗性等の品質を外観検査、寸法検査では確認することができません。処理液組成分、処理時間、必要に応じて電流・電圧等のパラメータを設定して管理・実施することにより品質を確保しています。

化学処理においては、処理前の洗浄工程は密着性に多大の影響を及ぼします。高張力鋼へのメッキでは、処理後4時間以内に、200℃前後でベーキング処理を行わなければ水素脆性をきたし、破壊する恐れがあります。このようにメッキ処理そのものの工程管理もさることながら、その前後の処理工程にも厳格な管理が必要です。

浸透探傷検査、超音波検査等の非破壊検査では、検査設備の性能と維持管理はもちろんのこと、検査手順を定めて実施し、検出されたインディケーションの評価・判定を行う検査員の力量に依存しています。
検査員の力量がなければ欠陥が存在しても、欠陥がインディケーションとして検出されず、誤判定となってしまいます。したがって、検査員が一人で判定できるまでに最低400時間、700時間(非破壊検査の種類により異なります)の経験が要求されています。

特殊工程の品質確保には、機械加工とは管理の深さが異なる設備、人、プロセスの厳格な管理が必要となるわけです。