特殊工程の重要さは理解していただけたと思います。ではなぜNadcap認証制度が立ち上げられ、それが全世界の航空宇宙防衛産業に展開されていったか。この辺の経緯について解説しましょう。 このことを理解するとNadcap認証取得する意味が理解されると思います。

Nadcapプログラムは、米国で立ち上げられた特殊工程認証プログラムです。Nadcapは、National Aerospace and Defense Contractors Accreditation Programの略称でした。従って、最初は、NADCAP認証と記載されていたのです。1990年のことです。

それはともあれ、米国航空宇宙産業の発展とともに、航空機及び航空エンジンメーカのプライムであるボーイング、GE, P&W等のサプライヤコントロールの業務は増加する一方でした。特に、特殊工程の管理については、自社の管理だけでなくサプライヤ(Tier1,Tier2,Tier3・・・)の認証、再認証の業務は、サプライヤの増加とともに増加の一途をたどりました。

サプライヤチェーンすべての供給者の全特殊工程を認証することは、人的資源面から困難な状況に遭遇してきました。一方、供給者にとっても、多くの航空宇宙産業の顧客を持つ場合、顧客の認証監査及び更新監査を受けるのに多大の労力を要するようになってきました。

そこで考えられたのが、“米国航空機メーカ、航空エンジンメーカ等の代理人による特殊工程の監査結果が適切であれば、米国航空宇宙産業界はサプライヤの特殊工程管理の状態は適切であると認める”との特殊工程認証監査制度を設置したのです。この段階では、適用は米国企業だけでした。この代理人がSAE傘下のNPO法人PRI(Performance Review Institute)なのです。代理人が行う監査ですから、純然たる第三者監査ではないのです。

その後、経済のグローバルとともに、米国の航空機メーカ、航空エンジンメーカ、装備品メーカは、グローバルな部品調達の展開を強化しました。 この特殊工程認証制度を米国だけでなく欧州、アジアにも展開したわけです。欧州には2000年ロンドンPRI事務所を、アジアには2003年北京PRI事務所、2004年日本事務所(愛知県春日井市)を開設しました。

これらは、アメリカ航空宇宙産業界のグローバルサプライチェーン戦略の一環に他ならないならないのです。

<参考>
AS/EN/JISQ9100が制定されたのが2000年ですから、Nadcap制度はそれ以前から運用されてきたのです。そして、AS/EN/JISQ9100、Nadcap認証制度は、米国航空宇宙産業界に込められたグローバル戦略そのものなのです。