前回から「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる10の機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)の個々の機能の解説をスタートしたが、今回は2つ目の「工程設計機能」の解説をする。

“ものづくり”を生業とする企業にとっては、「工程設計機能」は中核的な機能(コアコンピタンス)のひとつと言える。なぜならば、この機能によって品質、コスト(工数)及び納期(加工期間)のほとんどが決定されるからである。通常この機能の業務は、前回解説した「契約・受注機能」が顧客からの引合いを受けた段階から始まる。
引合いの段階での個別製品要求事項の解読の主役は、この「工程設計機能」が担う。受注する前から可能な限り、引合い製品(単品または組立品)の加工工程、使用機械・設備、加工条件等を具体的に検討することが肝要である。受注後の個別製品要求事項の内容確認は“再確認”の程度で考えて、所謂フロントローディング*として臨むべきである。また、受注前の引合いの段階でリスクを明確にして対処することで、受注後の経営的な成功の確率が高くなる。

航空宇宙産業界においては、一般的この機能は“生産技術部門”が担っている。引合い時及び受注後の上記の具体的な検討、加工工数等の見積もりは「工程設計機能」の責務であるが、この機能(生産技術部門)だけで完結できる訳ではない。

例えば、自社内で全加工工程をカバーできない場合には、この機能が主体的に社外加工先(外注)と加工条件や適用する治工具に関して十分意思疎通を図っておく必要がある。また、加工工程内での検査(工程内検査)や最終検査(完成検査)のやり方に関しては「検査機能」と十分調整して置く必要がある。

材料の購買が「一貫生産」の契約の範囲に含まれている場合には、「購買管理機能」とのコミュニケーションも欠かせない。

製品の加工に必要な“固有技術”の観点でみる。引合いした/受注した製品が単品か、組立品か、薄板の板金成形品か、ブロック材からの機械削り出し品か、また複合材成形品かで具備すべき“固有技術”は違ってくる。

“固有技術”で絶対忘れてならないのは、特殊工程(Special Process)作業である。特殊工程には一般的には、化学処理、熱処理、溶接、ショットピーニング、コーティング、複合材、非破壊検査、材料試験等がある。特殊工程の細かな範疇は、委託元の企業によって違いがある。

従って、委託先(受託)企業は、委託元の図面及びそこから呼び出されるスペックを精査する必要がある。 航空宇宙産業においては、一般的には右の図に示す様に航空機取りまとめメーカー(ないしは、エンジン取りまとめメーカーや搭載機器取りまとめメーカー)、所謂プライムメーカーの要求事項をサプライチェーンの全てメーカー、1次下請け(Tier1)、2次下請け(Tier2)、3次下請け(Tier3)・・・・・に展開し、適用する必要がある。

特殊工程の要求に関しては、この要求事項のサプライチェーン展開が特に厳格に実施されることが多い。

「工程設計機能(生産技術部門)」の最終的なアウトプットは、「生産手配機能(生産管理部門)」を経由して「製造機能(製造部門)」及び「購買管理機能(調達部門)」にインプットされる作業指示書や作業手順書である。

次回(第5回)では、「生産手配機能」に関して解説する。

注記:*フロントローディングとは、業務の初期工程(フロント)に負荷をかけ(ローディング)、作業を
前倒しで進めることで、品質の造り込みやリスク検出等の早期化を狙った活動である。