「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる9つ*の機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)の個々の機能の内、今回は3つ目の「生産手配機能」の解説をする。

この機能は“生産管理”の範疇に入り、一般的には広範囲の解説が可能と思うが、ここでは航空機産業の特徴的な話題に絞り記述する。

前回解説した「工程設計機能」のアウトプットである加工及び検査の技術的な指示に、顧客である委託元からの納入指示や製造指示の情報(通常、製品個数や納期)を加えて「製造機能」の社内製造部門、「検査機能」の検査部門及び「購買機能」を担う購買部門に作業指示する機能が「生産手配機能」である。後者の情報は、顧客からの製造個数及びそれらの納期を生情報のまま作業指示として作業指示書や作業手順書に記載すれば済むものではない。特に、航空機産業では、自動車産業に比べ生産機数(台数)が少量ではあるが、一方1機種当たりの部品点数は遥かに多い。

航空機産業は、所謂“多種少量生産”の典型である。そこで、受注している全体の製品生産規模の中で個々の製品の納期キープを行うために社内及び社外の製造部門の消化能力を考慮した、きめ細かな“生産・日程計画”が要求される。そのため、「生産手配機能」においては、生産管理用のコンピューターシステムを抜きには語れない。整備すべき、この生産管理用のコンピューターシステムは、委託先企業の規模によりパソコンシステムからサーバー仕様の大規模システムまで様々なものが考えられる。

生産管理用のコンピューターシステムからの日程指示に基づき、作業指示書や作業手順書が、社内製造部門及び購買部門へ発行・伝達される。この作業指示書や作業手順書を受領した、「製造機能」を担う社内製造部門及び社外加工先(購買部門経由)において製造が実施される。また、製造過程を「日程管理機能」が製造の進捗状況を監視・測定することになる。

「生産手配機能」においては、“変更指示”の発生を前提にシステム構築することが重要である。変更は、日々発生する。変更には、「工程設計機能」からの製造工程等の技術情報の変更、顧客要求事項の変更に基づく“生産計画”からの製造個数・日程の変更、また「製造機能」を担う現場からの不適合品の発生に伴う日程変更など様々考えられる。

この日々発生する“変更指示”に対して、如何に手間暇かけずに、迅速に、且つ正確に変更情報を伝達できるか、が“生産管理”の勝負の分かれ目になる。この“変更指示”のためにも生産管理用のコンピューターシステムは「生産手配機能」には必要不可欠な要素となっている。

JISQ9100規格要求の2009年版改訂として、顧客満足の条項において“納期どおりの引渡し”に関する監視・測定及び問題がある場合の是正処置の要求が追加になった。沢山の部品で構成される航空機産業においては、個々の部品の所定納期が遵守されなければ、その部品で構成される後工程の組立作業に直接悪影響を与えてしまう。規格要求事項である“納期どおりの引渡し”を順守するためには、この「生産手配機能」及び後日解説予定の「日程管理機能」が「一貫生産」担当企業においては、今後益々重要な要素となる。

尚、ISO9001規格要求の中では、“納期どおりの引渡し”及び“生産管理”に関しては要求事項としての直接的な記述はない。

次回(第6回)では、「内外仕訳機能」について解説する。

 注記:*前回まで10機能といってきましたが、解説する機能は全部で9つでした。
著者の勘違いでした。お詫びして訂正します。