「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる9つの機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)の内、今回は6つ目の「製造機能」の解説をする。
なお、ここでは、板金加工や機械加工など個々の固有技術に関する解説を行うものではない。

“ものづくり”を生業とする企業にとっては、第4回で解説した「工程設計機能」及び次回9回で解説予定の「検査(品質管理)機能」と合わせてこの「製造機能」は最も重要で必要不可欠な機能と言える。顧客である「一貫生産」の委託元が或る委託先(受託)企業に発注する理由は、正にこれらの機能、中でもこの「製造機能」がしっかりしていることを認めるからに他ならない。それ故、「一貫生産」を目指す企業としては、第一に自社としてのこの「製造機能」は何かを認識、または再確認して臨む必要がある。いわゆる“ものづくり”企業としての“強み(コアコンピタンス)”の認識及び確立が重要である。この点が曖昧なままで「一貫生産」の作業を受注できたとしてもその企業は、経営として継続的な成功にはつながらないであろう。

“強み”としては、“低コスト力”も絶対条件である。本稿の第1回で記述した様にもともと顧客である「一貫生産」の委託元が委託先企業を求める理由は、グローバル競争を勝ち抜くために製品としての航空機を安く提供するためにコストダウンが欠かせないからである。

「製造機能」に求められることで運用上大事になるのが、JISQ9100規格要求事項の“管理された状態での製造”と“製造が計画のとおり実施された証拠の保持”である。 “管理された状態での製造”とは、「工程設計機能」によって計画・設定された製造工順及び製造条件に基づいて製造作業を実施することである。更には「工程設計機能」内の「検査計画機能」(本稿では、独立した機能として解説の対象にはしなかった。)によって計画・設定された検査工順及び検査条件に基づいて検査作業を実施することである。

「工程設計機能」において計画・設定された工順や条件は、「製造機能」や「検査機能」から見ていつも完璧な内容(指示)とは言えない。この際、注意を要するのは、完璧でないと言って、「製造機能」を持つ製造現場で勝手に修正してはいけない。その無視は論外である。原則的に、製造及び検査の計画・設定された工程・手順・条件が記載された“工程指示書”の修正は、その該当する作業開始前にその発行元である「工程設計機能」を持つ部門の予め承認された者が行う必要がある。

“製造が計画のとおり実施された証拠の保持”に関しては、多言は要しないであろう。各作業および検査が「工程機能」が設定・指示した通りに実施した証拠として、作業担当者及び検査委担当者のサイン(又は捺印)と日付が記載された“工程指示書”を記録として保管することである。

以上、どの固有技術にも共通する事項を中心に解説したが、「一貫生産」を受注する委託先企業として最も大事なことの一つは「工程設計機能(含む検査計画機能)」、「製造機能」及び「検査機能」が適正な規律の基で連動して機能出来ることではなかろうか。
最後に「製造機能」は、品質上も納期上も一番知力と馬力が要求される機能と言える。

次回(9回)においては、「検査機能」に関して解説する。