「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる9つの機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)の内、今回は7つ目の「検査機能」の解説をする。

「検査機能」は、社内で実施された加工作業に対するものと社外の外注工場において実施された加工作業(社外から調達した材料等も含む)に対するものとがある。社内作業に対する「検査機能」は、一般的に製品・部品の製造工程の途中での“工程内検査”及び最終工程作業終了後の“完成検査(最終検査)”に分けられる。また、加工作業や購買された製品・材料に対するそれは、“受入検査”となる。

ここで、外注工場や購買先(商社も含む)から来る製品・部品(以下、購買品と呼ぶ)を“受入検査”で、どの程度まで検査するか、が「一貫生産」を受注する委託先(受託)の大きな課題となる。外注工場の検査結果を購買品の受入時に、社内としての実質的な検査行為を行わず、“納入時に添付される検査記録等で確認する”ことも購買品の受入検証の一つの方法である。しかし、「一貫生産」の立上げ初期では、顧客である委託元の早期な信用の確保が必要であること、及び何より不適合が発生した場合に、どの外注先の、どの工程でその不適合を発生させたか、責任を明確にする必要がある。よって、本稿では、外注先が検査を実施し、その後社内の“受入検査”でも実質的な検査行為を行うことを強く推奨したい(下図を参照されたい)。

次に、この「検査機能」を社内のどの部門が担うかの課題もある。特に、航空宇宙産業においては、欧米文化が背景にあり、いわゆる“性悪説”の思想が管理の根底に流れている。

すなわち、立法に当たる「設計機能」、行政に当たる「製造機能」及び司法に当たる「検査(品質管理)機能」、各機能の三権分立、独立性の確保である。

従来の「工程別生産」を受注する委託先(受託)企業、特に小規模企業においては、一人の責任者が「製造機能」及び「検査機能」の双方を管理運営することは許されないことはないが、「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業においては、「製造機能」及び「検査機能」をそれぞれ異なる管理者を置いて管理運営することが望ましい。もちろん、「一貫生産」において、「設計機能」を含めて受注する場合には、「設計機能」を担う部門の責任者は「製造機能」及び「検査機能」の責任者以外の者が担う必要がある。

最後に、無駄の無い適切な「検査機能」を働かすには、どう考えたらよいであろうか? 答えは、前工程の「工程設計機能(含む検査計画機能)」にある。この「工程設計機能(含む検査計画機能)」を担う、生産技術部門及び/または検査計画部門と十分な意思疎通を図って、製造工程内のどの段階で、どんな検査を実施するか、を計画することが欠かせない。これが、JISQ9100規格要求の“管理された状態での製造・検査の実施”及び“製造・検査が計画のとおり実施された証拠保持”の確実な実行につながる。

なお、「検査機能」の実行を担う検査担当者“検査員”の力量評価及びその実行結果の証として使用する合格印及び/またはサインの綿密な管理も、適切な「検査機能」の実行には欠かせない。本稿では、その重要性のみを記して解説は他稿に譲る。

次回(10回)においては、「不適合品処理機能」に関して解説する。