「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる9つの機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)の内、今回は8つ目の「不適合品処理機能」の解説をする。

この世の中、いかなる業種、業態にかかわらず避けて通れないのが、顧客への不適合品の流出(顧客からのクレーム)及び社内の工程内検査(含む受入検査)における不適合品の発生である。航空宇宙業界においては、航空機や宇宙機器の高い信頼性や安全性の確保の面から他の業界以上に、これらクレーム及び社内の工程内不適合品への対応のための確かな仕組みの構築、責任と権限の明確化及びその厳格な運用が求められる。
この機能は、本業界では「検査機能」(前回解説した)を所轄する部門が担うことが一般的である。

先ず「不適合品処理機能」における、“顧客クレームへの処理”の要点に関して述べる。顧客からクレーム情報を受けた場合には、迅速なクレーム内容の確認が最初に必要となる。その後直ちに、このクレームによって影響を受ける製品・部品に関する情報、例えば、製品・部品番号、数量、出荷日付を含む不適合の明確な通知が必要となる。

通知を要する関係者には、ケースバイケースではあるが、顧客をはじめ、監督官庁、自社内関連部門や当該供給先(外注先)が含まれる。また、クレームが発生した場合には、同じ可能性のある製品・部品の生産、運用中の製品・部品への影響を防ぐために、封じ込め処置として仕掛製品・部品の生産中断、暫定や緊急処置が要求される。もちろん、クレームの発生原因の究明及びその徹底した再発防止としての是正処置は、必要不可欠な実施事項である。

 

次に“工程内検査(含む受入検査)における不適合品”に対する主要な「不適合品処理機能」について述べる。ここでも最初に実施することは、不適合品の内容確認である。検出された不適合品を除去するために、追加加工により図面やスペックの要求事項どおりに“手直し”可能な場合には、それを実施すればよい。但し、ここで注意する点は、熱処理や溶接等ではスペックで再処理や追加加工が許容されていない場合があるので、顧客要求事項であるスペックの精緻な解読・理解が必要となる。

更に注意する点がある。高額材(例えば、チタン材)が不適合品として検出された場合には、経済性の観点から救済したい。しかし、「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業は、製品・部品の「設計機能」を持っていないこと (製品・部品の設計権が無い)が一般的と考えられるので、したがって、その判定を顧客に委ね、顧客の承認を得ない限り、そのまま使用又は修理の処置をとることは絶対許されない。

また、判定を顧客に委ねて、顧客が技術的検討(設計計算、互換性、置換性等の観点から検討)するわけであるから「不適合の内容」については、不適合の発生部門だけではなく、品質管理担当部門の確認を得て、顧客に特別採用申請(再審申請)を提出する必要がある。
不適合の発生原因の究明及びその徹底した再発防止としての是正処置は、“顧客クレームへの処理”と同様に求められる。

最後に、“顧客クレームへの処理”及び“工程内検査(含む受入検査)での不適合品”の両方に対して求められる重要事項を2つ述べる。
一つめは、“廃棄と判定された製品・部品の処理”である。前述した様に、航空機や宇宙機器の高い信頼性や安全性の確保の観点から、廃棄品が間違って製品や部品として後工程に流されたり、顧客へ出荷されないように処置・管理することが必要となる。そのためには、物理的に使用できるまで、判り易く、かつ、永久的な印を付けて、原形が残らない程度に変形しておくことが求められる。

二つめは、“とった是正処置の有効性のレビュー”である。これは、取った是正処置の実行によって、本当に当該の不適合品の発生が止まったのか、を確認することである。クレームの撲滅や工程内不適合の削減には、絶対欠かせない活動であり、この「不適合品処理機能」の仕組みとして組み込むことを忘れないで欲しい。

次回(11回)においては、「日程管理機能」に関して解説する。