「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業に求められる9つの機能(品質マネジメントシステムにおける製品実現プロセス)を順次解説してきたが、今回は本稿の最終回として「一貫生産」のまとめを記載する。

先の読めない世界の中で企業の継続的な存立を行うためには、経営者の強い意志の下で戦略的な計画を持ち、事業を推進することが、どの業界・業種においても欠かせないことは論を待たないであろう。ここで言う“戦略的”とは、自社の強みを明確に認識し、自社が戦う市場・製品を明確に選択することを言う。他社と差別化できる技術・技能としての強み(コアコンピタンス)の重要性については、第8回で述べたが、ここでその重要性について繰り返して強調しておきたい。

航空機としてのシステムは、大別して機体構造体、エンジン及び搭載装備品に分けることができ、機体構造体における加工領域だけを見ても治工具製作からワーヤーハーネスのように非常に広範囲に亘る(下図参照)。
「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業は、少なくとも自社の強みである加工領域は、自社内で処理すべきであろう。強みである加工領域に加え、他の領域を開拓して自社内の処理領域を拡大して、自社内処理領域の広い「一貫生産」メーカーを目指すことが顧客からの信頼を得る道筋であろう。

次に、「一貫生産」を受注する委託先(受託)企業が考えなければならないことは、サプライチェーンのどのレベルの「一貫生産」メーカーを狙うかである。構造体分野では、航空機の運用顧客(エアライン)に直接納入するプライム・メーカーを頂点したサプライチェーンにおいて、一般的に一部構造体組立作業(含む艤装作業)を担当する一次受託メーカーを狙うか、この一次受託メーカーの下で部品を完成体として納入する二次受託メーカーを狙うか、が考えられる。

一次受託メーカーを狙う場合には、部品を完成させる、部品を集めるという機能に併せて部品を組み立てる、艤装するという機能が求められる。二次受託メーカーを狙う場合には、部品を完成させる、部品を集めるという機能が求められる。どちらを狙うかは、現在の組織の規模や強みに大きく依存するが、二次受託メーカーから一次受託メーカーへリスク評価しながら段階的な展開を行うのが、常識的な展開方法であろう。

一次受託メーカーの場合は、設計・開発作業も併せて担当する場合が多く、この場合には、今まで解説した9つの機能に加えて「設計・開発機能」が要求されることを補足しておきたい。

また、他社との連携も一つの「一貫生産」を担う受託メーカーの形態とは思うが、顧客(プライムメーカー、一次受託メーカー)から見た場合には、製品の品質及び納期の責任はあくまで1社にあるのであり、複数社にあるのではないことを忘れてはならない。

ほぼ半年間連載してきた「一貫生産」の解説は、以上で終わりとする。お付き合い頂いた読者諸兄には深謝する。本稿に関してご意見等を頂ければ幸甚である。